ゆで卵

意味が分かると怖い話

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本編

俺はゆで卵が大好きだ。
生卵とか目玉焼きとかはあんまり好きじゃないのに、自分でも不思議だ。

毎日ゆで卵を3つは食べるから、最近、卵が高くなってきたのが辛い。
それでも食べる量を減らそうとは思わない。
煙草好きの人が、いくら高くなってもやめられないのと同じだ。

昔はゆで卵を作るのが面倒だった。
一々、鍋で卵を茹でていた。
俺は半熟が好きだったから、ちょうどいい時間でお湯から上げるのも面倒くさかった。

でも今は電子レンジで作れる。
本当に楽になった。

ただ、電子レンジでゆで卵を作るときは、ゆで卵を作るための容器が必要だ。
最初は、電子レンジで作れるとだけ聞いて、皿の上に卵を置いて電子レンジにかけた。
そしたら爆発して、えらい目に遭った。

今となってはいい思い出だ。

さて、今日もさっそくゆで卵を作ろう。
寒いから熱々のうちに食べよう。

ゆで卵を作るための容器に水を入れた後、卵を入れる。
そして電子レンジのスタートボタンを押す。

それと同時に家の中の電気が消えた。

暖房もつけてたから、ブレーカーが落ちたみたいだ。
スマホのライトを頼りにブレーカーのところへ向かう。

やっぱりブレーカーが落ちていた。

ブレーカーを上げると家の中の電気がパッとつく。

びっくりした。
今度から気を付けよう。

そして部屋に戻り、テレビを見ていたらレンジがチンとなった。

そうだった。
ゆで卵を作ってたんだ。

電子レンジの中のゆで卵は、いい具合に半熟になっている。

俺は熱々の半熟卵を食べた。
やっぱりゆで卵は美味しい。

終わり。

■解説

ブレーカーが落ちたので、電子レンジも止まったはずである。
なので、ゆで卵が出来上がるのはおかしい。
一体、誰が電子レンジを再スタートさせたのだろうか。