黒歴史

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本編

黒歴史。
今となっては、誰にも話したくないこと。
 
それは誰にでも1つくらいはあるのではないだろうか。
もちろん、俺にもある。
 
俺にとってはまさに小学校の頃がそれだった。
しかも、ご丁寧にそのことを日記にまで書いている。
 
本当に恥ずかしい。
 
この日記は捨ててしまいたいところだが、ある意味、自戒のために残している。
誰かに見られたら、それはもう悶絶どころか、抜け出せない闇に取り込まれてしまいそうだ。
もし、誰かに見つかったのなら、俺は迷わずに悪魔と契約を結ぶだろう。
 
そいつの記憶を消してくれ、と。
 
本当にくだらない内容の日記だ。
 
やれ、友達が30人になっただの、先生に褒められるために勉強やクラブ活動を頑張る、ボランティアにだって参加もしていた。
まわりからいい子だと思われたくて、積極的に手伝いや虐められている子を助けたりなんかもした。
 
ため息が出るほどガキだった。
そんなことがなんの役に立つのだというのだ。
ただの自己満足。
欺瞞。
 
他者の評価なんて関係ない。
いや、人間の評価なんて、その人間の価値観で変わるものだ。
 
だから、世界をより良い方向に導くためにやることは、強大な力を得ることだ。
人では届かぬほどの、圧倒的で偉大な力を。
 
そして、その力を得るには人間の力では無理だ。
となると、もちろん、人外なる者の力がいる。
その力を得られるなら、俺は魂だって捧げよう。
 
全てはこの世界の秩序を取り戻すために。
 
さあ、今日も儀式を始めるとするか。
 
終わり。
 

■解説

周りの人たちに認められようとすることは普通のことである。
しかし、今の語り部はそれを恥ずかしいとまで言っている。
さらに、語り部は人外の者を呼び出すための儀式に夢中になっている。
つまりは、「今」の方が語り部にとって、黒歴史になる可能性が高い。

 

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