意味が分かると怖い話 解説付き Part61~70

意味が分かると怖い話

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高熱

風邪をひいた。
2日前の深夜から、急に熱が出てきたんだが、40度を超えてからは恐ろしくて計っていない。
 
朝になっても熱が下がった感じがしないし、インフルとも違う気がする。
一瞬、病院に行こうかと考えたが、フリーターになってから保険料を払っていないから、保険証が使えない。
ということは、病院に行けば、かなりの金額を取られそうだ。
 
となれば、自力で治すしかない。
とはいっても、一人暮らしの為に食べ物を買いにいく気力もない。
まあ、元々、食欲がないんだけど。
 
それにしても辛い。
熱がどんどん上がっている気がする。
怖いから計らないけど。
 
よし。決めた。
明日になっても熱が下がらないなら、親に来てもらおう。
 
おそらく、色々と文句とか言われると思うけど、もう限界だ。
とりあえず元気になってから考えよう。
まずは風邪を治すことに集中する。
 
数時間後。
突然、今までが嘘のように楽になった。
あれほど苦しかったのがパッと消えたのだ。
 
よかった。
これで親にも連絡しなくて済む。
朝になったら、久々に買い物に行って食べ物を買おう。
全然、お腹が減ってないけどね。
 
それにしても、そろそろ朝になるはずなんだけど、今日は妙に暗いし静かだ。
それと、連日の風邪で体が弱っているのか、体も全然動かせない。
 
なんだろ。
すごく眠くなってきた。
 
よし、このまま朝まで寝てしまおう。
 
終わり。

解説

語り部は既に亡くなってしまっている。

 

タクシー

男はタクシーの運転手をしている。

あるとき、男は町で女性を乗せ、山奥まで運んで降ろした。

次の日、男は町で女性を乗せた。

昨日と同じ女性だった。

男は叫び声をあげた。

終わり。

解説

男はタクシーの運転手をしている。

あるとき、男は町で女性を乗せ、山奥まで運んで降ろした。

次の日、男は町で女性を乗せた。

昨日と同じ女性だった。

男は叫び声をあげた。

終わり。

 

爪とぎ

私は猫を飼っている。

友達が拾ってきた猫を1匹引き取ったのだ。

生まれてから2ヶ月くらいの子猫はとても可愛らしくて、一緒に遊びだすと数時間はあっという間に過ぎてしまう。

うちの猫は比較的、大人しいらしく、他の猫と比べても鳴かないし悪戯もしないし、トイレも失敗しない。

ただ一点、困っていることと言えば、爪とぎだ。

色々な物で爪を研ぐ……というわけではない。

中には壁やソファーで爪を研ぐ猫もいるらしいが、うちの猫はそんなことはしない。

壁もソファーも綺麗なままだ。

どこも爪の跡なんてない。

問題なのは時間だ。

夜の2時か3時頃。

寝ているとカリカリカリカリと延々と爪を研ぐ音が聞こえてくる。

何かを催促するときに、爪を研ぐことはある。

餌が無くなったとか、水がないとか、トイレを掃除してくれとか。

だけど、夜の爪とぎのときは、何を催促しているのかがわからない。

起きて、電気をつけて見てみても、ご飯や水もあるしトイレだって綺麗な状態になっている。

単に爪を研ぎたいから研いでいるのかもしれないが、時間が長い。

30分くらいは平気で研いでいる。

友達に聞いてみても、普通は爪とぎなんて一瞬で1分もやらないそうだ。

なんで、あんなに爪を研ぐんだろう?

ちゃんと爪は切ったりしてるんだけど。

猫がうちに来てから、大体半年が過ぎた。

友達からもそろそろ去勢した方がいいと言われたので、動物病院に連れて行くことにした。

猫は去勢手術で一日、動物病院にお泊りすることになった。

急に家の中が静かになった気がする。

猫が来る前はこんなことを思ったことないのに。

でも、たった一晩の我慢だ。

明日には家に戻って来る。

私はいつもより早く寝ることにした。

丁度ウトウトしていた時だった。

遠くで爪を研ぐ音が聞こえる。

私は「あ、夜のご飯あげてなかった」と思って慌てて起きた。

キャットフードを出して、お皿に入れようとしたとき、猫は病院に預けていることに気づいた。

「早く帰ってきてくれないかな」

すごく猫が恋しくなった。

終わり。

解説

猫がいないのに爪を研ぐ音が聞こえるのはおかしい。

つまり、猫がいなくても爪を研ぐ音が聞こえるということは、今まで爪を研いでいたのは猫ではないということになる。

語り部の家には猫以外の何かが住み着いているのかもしれない。

 

復讐

私の息子が殺された。
子供が殺されるのは、これで3人目だ。
 
最初の子は私も事故だと思っていた。
道路に飛び出して、車に轢かれてしまった。
ひき逃げだった。
 
でも、2人目と3人目は絶対に違う。
殺意を持って殺されたとわかる。
 
なぜなら毒殺だからだ。
 
警察はアレルギー反応によるショック死だと断定した。
偶然、口にしたもののなにかにアレルギーがあるものを含んでいたのでは中とのことだ。
どうやら事故として処理したいらしい。
事故だなんて冗談じゃない。
 
犯人は私を恨んでいる人間に違いない。
だって、3人だ。
子供を3人も亡くすなんて、あり得るだろうか。
いや、ない。
犯人は巧妙な罠を仕掛けて、子供たちを殺した。
 
絶対に許さない。
私はこれから人生を掛けて犯人を捕まえて見せる。
 
子供たちには知らない人からは、どんなものだろうと貰ってはいけない。
そう、教えてきたし、子供たちはその教えを守ってきた。
 
なのに子供たちはアレルギー物質が入った飴を食べている。
つまり、顔見知りの犯行と言うことだ。
 
見てろよ。
絶対に追いつめてやる。
 
終わり。

解説

警察では、子供たちが、アレルギーがある、「なにか」を食べたことによる事故だと言っている。
つまり、警察の方でも、その「なにか」はわかっていない。
しかし、語り部は「飴」と断定している。
つまり、犯人は自分の手で子供たちを殺害している可能性が高い。

 

5歳離れた妹がいる。

両親が共働きということもあり、妹の面倒はほとんど俺が見ていた。

そのせいか、妹は俺に依存している。

友人の兄弟と比べても、異常なほどに。

かと言って、俺は妹が嫌いというわけではない。

ずっと妹の親代わりをしていたのだ。

可愛くないわけがない。

学生の頃はよく友人に冷やかされていたが、それでも俺は友人よりも妹を優先した生活をしていた。

おそらくそれが悪かったのだろう。

妹は俺への依存を強めていく。

年頃になれば、それもなくなるだろうと思っていたが、俺が大学を卒業する時期になっても、妹の、俺への依存は変わらなかった。

このままでは妹はダメになる。

そう思って俺は就職を機に、家を出た。

俺がいなくなれば、兄離れをするだろうと思っていた。

だが、1年後。

妹が俺の家に押し掛けてきた。

俺の家から大学が近いらしい。

そういう理由と、兄妹の仲の良さもあり、両親は俺と妹が一緒に住むことになんの抵抗もなかったようだ。

だが、俺はこれではより一層、妹が俺に依存してしまうと思い、かなり渋った。

しかも、妹の、俺を見る目が、なんというか兄というよりも異性を見るような感覚がする。

さすがにまずいと思い、俺はある条件を妹に出した。

「彼氏を作るまでは、会話をしない」というものだ。

少々酷な条件だろうと思ったが、それでも妹のことを思えば、これくらいの荒療治は必要だと思った。

妹は了承したが、1つだけ条件をお願いしてきた。

「夕食だけは一緒に食べたい」というものだった。

それくらいならと思い、俺は夕食を一緒に食べることと、その間だけは会話することにした。

夕食のときだけの会話しかしない。

そんな生活が、半年以上が続いた。

妹にそろそろ彼氏ができたか?と聞いてみると「もうすぐできるかも」と笑った。

俺はその言葉に安心した。

それにしても、妹の料理の腕はこの半年間で物凄く上がった。

いつも妹が夕食の準備をするのだが、美味しくてつい、満腹まで食べてしまう。

そのせいか、夜はぐっすりだ。

家事も完ぺきにこなすようになった。

もう、俺がいなくても問題ないくらいというより、きっといい奥さんになるだろう。

そんなとき、妹がいきなり妊娠したと言い出した。

俺は唖然とした。

いくら彼氏を作れとは言ったが、いきなりそこまでするとは思ってなかった。

妹は生むと言ってきかない。

俺もようやく兄離れをしてくれたと考えると、これはこれでいいと思った。

だが、妹に何度言っても、相手を紹介してくれない。

兄として、妹が付き合っている男が気にならないわけがない。

しかも、結婚前に相手を妊娠させる男だ。

俺が彼氏を作れと急かした責任もあるし、妹には幸せになって欲しい。

相手がろくでもない男なら、別れてほしいとお願いするつもりだ。

ただ、妹が会わせてくれないので、探偵を使って調べることにした。

今日は探偵から結果を聞く日だ。

探偵のところへ行くと、「妹さんと付き合っている人はいません」と言われた。

終わり。

解説

夕食は妹が作っていたこと。

夕食を食べた後、語り部は夜は深い眠りについていたこと。

そして、妹に付き合っている男はいない。

つまり、妹を妊娠させた男は語り部ということになる。

(妹が寝込みを襲ったということになる)

 

お前は誰だ

やってはいけないことの中で「お前は誰だ」ってやつ、知ってる?
鏡の前で、鏡に映る自分に「お前は誰だ?」って問いかけるやつ。
 
あれって、昔、どっかの国で実際に実験をして精神が崩壊したらしいね。
 
でもさ、なんか嘘くさくない?
そんなんで、精神が崩壊なんてするのか?
 
そう思って、友達とノリでやってみようってことになったんだよね。
で、ただやるだけじゃ面白くなってことで、どっちが長く続けられるか賭けをしたんだ。
 
5日くらいした頃、友達がギブアップした。
つまり、俺の勝ち。
けど、俺の方は特に問題ない。
 
友達は俺にももう止めた方がいいって言ってきたけど、俺にしてみれば全然余裕だった。
だから、どこまで続けられるかをやってみたくなった。
習慣っぽくなってきたし。
 
でも、友達からな何度も止められた。
だから、ウザいと思って、友達には止めたと言って続けていた。
 
ホント、なんともない。
全然大丈夫だ。
きっと、俺の精神力はかなり強くて、こんなんじゃ精神なんか崩壊したりしないんだろう。
 
ただ、不気味なことが起こるようになった。
それは、頻繁に変な夢を見ることだ。
 
目を覚ますと、俺は病室で手足が縛られた状態で寝かせられてるの。
で、周りの看護師とかに、「ほどいてくれ!」って言っても、冷たい目で見られるだけで、何もしてくれない。
 
まあ、それだけなんだけどね。
ただ、妙にリアルなのが嫌かな。
 
でも、まあ、最近はその夢もあまり見なくなってきたんだけどね。
 
終わり。

解説

語り部は「お前は誰だ」で精神が崩壊している。
縛られている夢は現実の方で、精神病棟に入れられている状態。
最近は夢を見なくなったということで、語り部は段々、現実世界に戻って来れなくなっている。

 

トイレを貸してください

会社でテレワークが進み、俺も自宅で仕事をするようになった。
 
ある日、部屋で仕事をしているとインターフォンが鳴った。
出てみると、そこには若い小柄な男性警察官が立っていた。
 
「この辺りで不審者を見ませんでしたか?」
「いえ……。特には。なにかあったんですか?」
「連続の強盗殺人が起こってるんですよ」
「ええ……。それは怖いですね」
「犯人は女性で、男ばかりを狙っているみたいです」
「え? 女性が男を狙うんですか? それはまたリスクが高いことをしてますね」
「犯人は、男のそういう油断を狙っているのだと思います」
「あー、なるほど」
「被害者は全員、犯人を家の中に入れています。これは油断の現れですね」
「確かに、女性にいきなり襲われるなんておもいませんもんね。でも、知らない人を家に入れるって……。やっぱり下心とかがあって、そこにも付け込まれたんですかね?」
「そうですね。とにかく、油断させていたことは間違いないです。後ろからナイフで一刺しですから」
「……気を付けます。知らない人は家に入れないようにしますよ」
「それがいいですね」
 
そんな会話をした後、警察が帰ろうとしたとき、急にその警察官がもじもじとし始めた。
 
「あの……。こんなことをお願いするのは心苦しいのですが、トレイを貸してくれませんか?」
「え? トイレですか?」
「はい。もう、おしっこが限界で」
「いいですよ」
 
照れ笑いする警察官に笑うのをこらえながら、トイレに案内する。
そして、10秒ほどがたったとき、トイレの中から警察官が話しかけてきた。
 
「すいません。トイレッとぺーバーが切れてますけど……」
「あ、すいません」
 
俺は慌てて、しまってあったトイレットペーパーを1ロール持ってトイレへと戻る。 
 
「持ってきました」
 
すると少しだけドアが開き、手がニュッと出てきた。
その手にトイレットペーパーを渡す。
 
ほどなくして、トイレの流される音がして、中から警察官が出てきた。
 
「いやあ、危なかったです」
 
また照れ笑いをする警察官。
 
「では、失礼します」
 
そう行って警察官は玄関へと向かった。
しかし、ピタリと立ち止まる。
 
「なんか、変な音しません?」
「え? そうですか?」
「部屋に誰かいます?」
「いえ、誰も」
「ちょっと見てきた方がいいかもしれませんよ」
「そうですね」
 
それはそう言って、警察官に背を向け、部屋へと向かった。
 
終わり。

解説

男が小便をする場合は、トイレットペーパーを必要としない。
そして、強盗殺人は女で、男ばかりを狙っている。
犯人は男の家の中に入って、強盗をする手口である。
このことから、家に入ってきた警察官は偽物で、実は強盗殺人犯である。
また、警察官なのに、「部屋に不審者がいるかもしれない」のに、語り部に見に行かせるというのもおかしい。
この後、語り部は後ろから強盗犯に刺されてしまう。

 

クルージング

とても仲がいい、ある大金持ちの家族4人が連休を利用してクルージングに出かけた。
海は少し波があったものの、航海できないほどではないと思い、父親が決行したのだ。
 
船の中で4人は飲み食いをしながら、クルージングを楽しんだ。
 
しかし、海の天候は急に変化し、荒波にもまれたクルージング船は沈没はしなかったものの、難破してしまった。
 
食べ物は食べてしまい、ほとんど残っていない。
それでも食べ物を分け合って、家族は耐え忍んだ。
 
そして、1ヶ月後。
家族4人は無事、保護された。
 
父親は後にこう語っている。
 
「危なかった。あと1人少なければ、家族は死んでいた」
 
終わり。

解説

クルージング船には家族の他に「使用人」が乗っていた。
その使用人を食べて、この家族は生き永らえたことになる。

 

教室にて

テスト直前の教室内。
ギリギリまで教科書を必死で見ている生徒や、周りに勉強していないアピールをする生徒など、様々だ。
 
「私、全然勉強してない。どうしよう」
「私も。昨日、ずっとYouTube見ちゃった」
「部活の大会が近くてさー。練習ばっかで、勉強なんて無理だっての」
「俺は昨日、マック食い過ぎて腹壊してたんだよね」
「ヤバいなー。赤点取りそう」
「もうヤマ張るしかしなかったよ」
「私なんて、そもそもヤマ張ることもしてないよー」
 
必死に点数が悪かった時のために予防線を張る。
 
そして、テストが始まる。
教室はシーンと静まり返り、コツコツと回答を書く音だけが響いている。
 
しかし……。
 
突然、プーとおならの音が教室に響いた。
一気に、教室は笑いに包まれる。
 
テストが終わり、休み時間になった。
 
「ねえねえ、誰? テスト中におならしたの」
「笑ったよなー」
「緊張解けたよ。爆笑で」
「後ろからだよね?」
「いや、前じゃね?」
「左?」
「右かな?」
「誰誰? 屁した奴、手をあげろよ」
 
すると、一人の男子生徒がバンと机を叩いて、立ち上がった。
 
「おい、止めろよ! いいじゃん、誰がしたかなんてさ。くだらない。本人が一番恥ずかしいんだからさ。そんなんじゃ、誰もポテトフライを食べれなくなるだろ!」
 
教室内は静まり返る。
 
「そうだな。悪かった」
「なあ、みんな。もう屁の話はやめようぜ」
 
教室の生徒が全員、同意し、この話は終了した。
 
終わり。

解説

みんなを説得した生徒は、なぜ、おならの原因が「ポテトフライ」だと知っていたのか。
それはおならをした本人だからである。
そして、最初に「マック」を食べ過ぎたと言っている生徒がいる。

 

占い師

とても優秀な占い師がいる。
その占い師の当たる確率は驚異の100パーセント。
人々はその占い師に注目し、連日、その占い師の元に大勢の人が集まった。
 
占い師自身、自分の占いに誇りを持っていて、まさに天性の才能だと自負していた。
そして、どんな占いが出ても隠すことなく、公開することと、どんなことがあっても占いを止めることはしないと決意していた。
 
あるとき、その占い師は自分自身を占ってみた。
 
その結果は「もう二度と、自分の占いが当たることはない」というものだった。
 
終わり。

解説

その占い師の当たる確率は100パーセントなのに、「もう二度と、自分の占いが当たることはない」と出たということは、「もう二度と占いができない」ということになる。
占い師はどんなことがあっても占いを止めないと決めていることから、占い師はこの後すぐ死んでしまうということになる。

 

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