ある金持ちと乞食の話

意味が分かると怖い話

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本編

AとBが他愛のない話をしている。
するとAがこんなことを質問してきた。

A「ある金持ちが、ある乞食の前を通るたびに1ドル札と20ドル札を出して、どっちがほしいって聞いたんだ。その乞食はどっちって言ったと思う?」
B「そんなの20ドルに決まってるだろ」
A「不正解。乞食は聞かれるたびに、毎回1ドル札を選んだんだ」
B「なんで? バカだったのか?」
A「違うよ。その乞食は頭がよかったんだ」
B「嘘だ」
A「ホントだよ。現にその乞食は20ドル貰うよりも儲けたんだ」
B「どういうことだ?」
A「つまり、毎回、あえて1ドルを選ぶことで金持ちの気を引いたんだ。現に金持ちは何度も乞食に1ドル札を渡しているから」
B「なるほど。20ドルの方を選んだら普通だから、もう二度とそんなこと聞いてこなさそうだもんな」
A「そういうこと」
B「でもさ。そんなの20回来てもらわないと損になるだろ。途中で飽きちゃったら終わりだぞ」
A「そんなことないよ。最初の1回目からでも乞食は20ドル以上お金を得ることができる」
B「なんで?」
A「だって、その金持ちが少なくても21ドルを持っていることがわかったから」
B「ああー。なるほど。そういうことか」

終わり。

■解説

普通に考えると、最初の一回では1ドルしか貰えず、20ドル札を貰うよりも損をしてしまう。
では、Aはなぜ1回目からでも20ドル以上のお金を得られると言ったのか。
それは金持ちを殺して、21ドルを取ることができるからである。
そんなことを思いつくAと、そのことにすぐに気づいたBはサイコパスなのかもしれない。