本編
俺には未来予知の力がある。
大体2日後までの間の未来が見える。
凄く集中力がいるし、未来予知の力は1日で5分くらいしかできない。
だから、頻繁には力を使わないし、1ヶ月以上使わないこともざらだ。
一時期はこの力を使って、何とかお金儲けとかできないかと考えたものだが、意外とうまくいかない。
2日後の未来が見えたところで、ほとんど役には立たない。
占い師になろうかとも思ったけど、1日5分じゃ、1人分の未来しか見れないからそんなんじゃ仕事にならないだろう。
そんなあるとき、俺に人生で初の彼女ができた。
凄く嬉しくて、毎日、彼女の未来を見ていた。
浮気されないかとかの確認も含めて。
もちろん、彼女には未来予知のことは黙っている。
信じられないだろうし、もし信じてもらえたとしても気味悪がられるだろうし。
正直、彼女を監視しているようで気が引けるが、やっぱり心配と好奇心の方が勝ってしまう。
ある日、いつものように彼女の未来を見ようとした時だった。
見ようとすると真っ暗で何も見えない。
こんなことは初めてだった。
俺はなんとか力を駆使して、ある時から見えなくなることを突き止めた。
それは明日、彼女が車に轢かれるからだった。
彼女に向かって車が突っ込んできたところでプッツリと未来が途切れているのである。
俺は何度も彼女に車に気を付けるように言ったが、どうやっても未来は変わらなかった。
だから俺はその日はずっと彼女と一緒にいることにした。
俺が注意していれば、きっと彼女を助けられる。
本当は街に出たくはなかったが、その日は彼女がずっと楽しみにしていたライブがあるからそれをキャンセルすることはできなかった。
当日、俺は彼女の家まで迎えに行き、気を張ってライブ会場まで向かう。
そして俺はタクシーの乗ればいいと思いつき、タクシーを止めるために道路の方へ歩く。
そのときだった。
彼女に向かって車が突進してきた。
予知で見たのと同じ車だった。
俺は咄嗟に彼女を突き飛ばす。
そのおかげで彼女は車に轢かれることはなかった。
よかった。
彼女の未来は守られた。
でも、やっぱり予知した未来は変えられなかったようだ。
終わり。
■解説
語り部は彼女を助けるために、自分が車に轢かれてしまった。
2日後の未来が見えなくなったのは、語り部自身が死んでしまったからである。