本編
今日も深夜まで残業だ。
しかも、俺一人というが精神的に、さらに堪える。
ビルはかなり古く、4階建てなのに入っているのは俺の会社だけだ。
だから夜の10時を過ぎると、建物内は静かになる。
今は深夜の1時。
なんとか3時には帰りたい。
それにしてもヤバい。
トイレに行きたくなってきた。
水分をとらないようにしてたのに。
このビル、幽霊が出るって噂があるから、極力行きたくない。
でも、漏らすわけにもいかないので、意を決して行くことにした。
用を足している間は、ずっと心臓がバクバクとなっている。
もう少しで終わると思った瞬間だった。
いきなり後ろの個室のドアがバンと開いた。
俺はビビッて、走ってトイレを出た。
ただ、気になるのでトイレを見ておこうと思った。
電気をつけて中を覗く。
個室のドアはどこも閉まっている。
なんだ。
気のせいか。
終わり。
■解説
語り部は慌ててトイレから出ているので電気を消していない。
なのに、もう一度トイレを覗くときに電気をつけてる。
つまり、語り部が消していないのに、電気が消えているのである。