トライアスロン

意味が分かると怖い話

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本編

俺はトライアスロンの選手をしている。
今日は138人が参加する、大きめの大会に出場する。

ただ、台風が近づいてきているせいか、小雨も降っているし、風も強い。
大会自体が中止になるかなと思っていたが、どうやら開催するみたいだ。

こういうときはいつもより倍以上に辛いが、それは他の選手も同じ。

賞金がかかっているせいか、誰も棄権していない。
1割くらいはリタイアするかと期待していたが、まさか1人もいないとは思わなかった。

でも、こういう日はレースが荒れ、逆にチャンスだったりする。
いつもトップに常連の選手でも、こういう何があるかわからないときは調子を崩すことが多い。

トップに入るのは無理だとしても、せめて100位には入っておきたい。

気合を入れる中、大会が始まる。
本当は最初から飛び出すつもりだったのに、強風に煽られて戸惑ってしまい、大きく出遅れた。

レース中にもドンドンと順位が下がっていき、ついには水泳のときには最後尾になってしまった。
それでも諦めずに頑張ったけど、結局、誰一人抜くことはできなかった。

大差をつけられて、俺は一番最後にゴールした。
137位。

これは落ち込む。
奥さんと子供に、なんて言えばいいんだ。

終わり。

■解説

この大会には138人が参加している。
そして語り部は最後にゴールしたのに、137位になっている。
水泳のときに最後尾になったと言っていることから、悪天候で1人、溺れて行方不明になっているのかもしれない。