本編
その子は、長い間ずっと子供ができなかった夫婦の間に生まれた。
念願の子供に夫婦は喜び、その子をとても可愛がった。
しかもその子は体が弱く、そのせいで親はどんどんと過保護になっていく。
その子の安全のために外には出さず、ずっと家の中で育てていた。
幼稚園はもちろん、小学校にも行かせず、家の中で一流の家庭教師を雇って勉強させていた。
そのおかげか、学校には通っていなかったが、模試ではよい成績をとっていた。
高校も通信で卒業した。
だが、その子は両親を恨んでいた。
学校にも通わせてもらえなかったせいで、友達もできない。
みんながもっているような思い出も何もない。
両親による過保護。
それはもう呪縛だとさえ思うようになった。
その子は綿密に計画を立てて、両親を殺した。
その子の想定通り、両親は事故とされた。
両親の遺産も手に入れ、その子は20年は働かなくても生活できる。
その子は両親から解放された。
やっと手に入れた自由。
その子は希望に包まれていた。
その数ヶ月後。
家の中でその子の死体が発見された。
終わり。
■解説
その子は生まれてからずっと家の中で生活していた。
そして、過保護で大切に育てられている。
おそらく、その子の生活に関わることは全て両親がやっていた。
つまり両親がいなくなったとき、その子は何もできなくて、家の中で餓死したのである。