殺害現場

意味が分かると怖い話

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本編

今年で刑事になってから40年目だからね。
定年が近づくとやっぱり、感慨深くなるものだよ。

思えば色々な事件を担当してきたなぁ。

解決できた事件もあれば、できなかった事件もたくさんあった。
もちろん悔しさはあるよ。
犯人を捕まえられなかった事件の被害者には合わせる顔がない。

とはいえ、ちゃんとお墓参りは言ってるよ。
下手をすればばあさんの墓よりも行く回数は多いね。

でも、そんなものはただの自己満足かもしれないがさ。
それでも行かないなんて選択肢はないんだ。

え?
今まで印象に残った事件はあるかって?

さっき言った通り、解決できなかった事件は全部覚えてるよ。

うーん。
その中でも特に印象が強い事件ねぇ……。

あ、そうだ。

これは事件というより、殺害現場の話なんだけどさ。
あれは本当に凄かった。

ん?
違う違う。
グロイとか汚いとかそんなんじゃないよ。

その逆。
凄く綺麗だったんだ。

掃除して綺麗にしたとか、そういうレベルじゃない。
まるで新築の家みたでさ。
埃一つなかったんじゃないかな。

ルミノール反応も一切なし。

もちろん、迷宮入りだよ。
犯人も絞ることができなくてさ。

それどころか、死体だって見つけられなかったんだ。

結局、行方不明ってことになったよ。

さすがにその子の墓参りには行けてない。
だって、事件にすらできなかったんだからさ。

きっとこのことは一生忘れないと思う。

たとえ、定年で引退して退職してたとしても。

終わり。

■解説

犯人の目星もつかず、死体も見つけられず、血液反応もなかった現場を、どうして語り部は『殺害現場』だとわかったのか。
もしかすると語り部はこの事件に関わっているのかもしれない。