本編
息子はニートだ。
学生の頃は努力家で、有名な私立高校にも受かった。
でも、高校2年生の頃、息子は虐めにあい、引きこもりになってしまった。
陰湿な虐めは辛かっただろう。
その当時は息子が学校を休むことに、私は賛成した。
あんなに努力して合格した高校だったが、息子の心身を犠牲にしてまで通う必要はないと思った。
最近は学力だけが全てではなくなってきたし、高校を卒業できなくてもやり直せるはずだ。
だが、息子はそれから引きこもりをやめることはなかった。
家に出るのは1年で数回。
下手をすると1度も出ない年もあったと思う。
私も高齢になってきたし、そこまで裕福でもない。
ずっと息子を養うこともきつくなってきた。
だから私はずっと息子に語り続けてきた。
どんな仕事でもいい。
給料がどんなに低くてもいい。
働いてほしい、と。
最初、息子は私のいうことを無視し続けた。
だが、私は根気よく息子と向き合い続けた。
そのおかげか、息子は頑張ってみようかな、と前向きな言葉を言うようになった。
この子ならきっとできるはずだ。
あんなに努力家だったのだから。
そして、ついに息子はニートではなくなった。
私は絶望し、息子を刺殺した。
終わり。
■解説
ニートは15から34歳の非労働力のことである。
つまり、息子は35歳になり、ニートという定義から外れただけだった。
そして、語り部が絶望して刺殺したことから、息子は口先だけで、全く行動に移そうとしなかったことがわかる。