本編
僕は高校に入学したときからずっと彼女を追ってきた。
写真が好きな僕は、3年間、彼女を撮り続けてきた。
その写真はもう何百枚になっただろうか。
でも、満足した写真は1枚も撮れていない。
彼女を撮ると、彼女はいつも目をつぶってしまう。
フラッシュなんて絶対にたかない。
かといって、彼女は写真が嫌いというわけではない。
友達同士で撮った写真やクラスの集合写真とかは、ちゃんと目を開いた状態で写っている。
僕はどうしても彼女の最高の1枚を撮りたい。
今日も彼女のシャッターチャンスを伺う。
そして、ついに僕は今までで一番の写真を撮れた。
目を開いていて、目線もこっちを向いている。
ただ、ちょっと口が開いているのが勿体ない。
終わり。
■解説
彼女は写真が苦手というわけではない。
それなのに、いつも目をつぶってしまうのはなぜか。
それは語り部が隠し撮りをしているからである。
そして、今回、視線を向けているということは隠し撮りがバレてしまっている。