意味が分かると怖い話 解説付き Part561~570

意味が分かると怖い話

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大根おろし

その主婦は料理が下手だった。
だが、決して料理は買ってきたものを出すわけではなく、ヘタなりにも全て手作りしている。
その料理は簡素なものばかりであったが、夫はいつも感謝して料理を食べていた。
 
そんなある日。
料理の一品にあるものが添えられていた。
 
それはもみじおろしだった。
夫は珍しく買ってきたんだなと思いつつ、もみじおろしを食べる。
 
だが、そのもみじおろしは全く辛くなかった。
 
終わり。

■解説

それはもみじおろしではなく、大根おろしに血が混じったものだった。
料理が下手で、自分の指をすりおろしてしまい、血が出てしまった。

 

昔からある家

町の外れに古い屋敷がある。
住んでいる住人は見かけないが、庭はちゃんと整備されているので空き家ではないことは確かだった。
 
そんなあるとき、町で選挙が行われた。
当然、この屋敷の住人宛にも選挙の案内が来る。
 
屋敷の住人は町を変えたいと思い、選挙へと赴いた。
しかし、屋敷の住人には選挙権は無く、警察に捕まってしまった。
 
終わり。

■解説

古くからある屋敷に住む人間は本当の住人ではなかった。
つまり、違法に滞在していたことになる。
では、一体、本当の住人はどこに行ってしまったのだろうか。

 

最後の恋

少女は恋をした。
少女にとってそれは一生に一度の大恋愛だった。
 
だが、周りは10代の恋で、どうせ恋に恋しているだけだと笑った。
 
それに腹を立てた少女は、生涯、この人以外を愛さないと宣言した。
 
そして、数日後。
少女はその言葉を本当だと証明した。
 
終わり。

■解説

少女は自殺してしまった。

 通知表

少年はいつもテストで赤点ばかりで、通知表も平均で「2」という状況だった。
担任からも留年するぞと脅されていたが、少年はとくに気にせず、いつもゲームばかりしていた。
 
それを見た母親が少年からゲームを取り上げる。
少年は何とか取り返そうと母親と交渉する。
だが、母親はゲームを返したくなく、オール5を取ったら返すという条件を出した。
 
それを聞いて少年は必死で勉強を始める。
その成果もあり、テストでは100点を取るほどまではなかったが赤点を取ることがなかった。
 
そして、その次の通知表が渡される。
すると、少年は何とオール5を取ることができた。
 
それを見た母親は歓喜し、ゲームを戻した。
 
終わり。

■解説

少年の学校の通知表は10段階評価だった。

 

論文

ある大学の教授が学会で論文を発表した。
それはその分野では画期的な発見で、大いに注目されていた。
 
教授は学会で発表をする際に、涙ながらにこう語った。
 
「この論文はある優秀な助手に手伝ってもらい、5年以上をかけて完成させることができました。残念ながら、その助手は論文が完成する前に事故で亡くなってしまいました。なので、この論文は私と彼の二人で書き上げたものだと思っていただきたいです」
 
その場にいた学会の傍聴席から拍手が溢れ、教授は頭を深々と下げる。
 
そして、多少突っかかりながらも、教授は無事に論文の発表を終えた。
引き上げようとした教授に対して、会場からいくつかの簡単な質問が上がった。
 
だが、教授はその質問に何一つ、答えることができなかった。
 
終わり。

■解説

5年以上研究し、論文をまとめていたはずなのに、簡単な質問答えられないのはおかしい。
さらに、この論文は助手と一緒に研究していたが、その助手は事故で亡くなっている。
この論文は画期的な発見だということも考えると、教授はこの論文を横取りするため、助手を殺した可能性が考えられる。

 

停電の夜に

男はニートで引きこもりだった。
ずっとゲーム三昧で過ごしていたため、男の両親は激怒し、男からパソコンを奪い取る。
 
男はなんとか取り返そうとしたが、無理だった。
そこで男は昔使っていたノートパソコンで、据え置き型Wi-Fiに接続することでネットをすることはできるようになった。
 
さすがにディストップではないのでゲームはできなかったが、ネットサーフィンとチャットをすることで時間を潰していた。
 
そんなある日の夜。
男が適当な相手とチャットをしていると、近くで雷が落ち、停電になってしまった。
家の中の電気はみんな消えてしまったが、ノートパソコンのバッテリーは残っていたので、そのままパソコンは使えた。
 
男はチャットで、「これがディストップでゲームしてたら電源が落ちて、キレるところだったよ」と書き込む。
すると相手からも「あー、わかる。こういうときって、ノートパソコンは便利だよな」と返ってきた。
 
それから1時間ほどチャットしていると、ノートパソコンのバッテリーも切れ、電源が落ちてしまった。
 
終わり。

■解説

停電でも、ノートパソコンのバッテリーの残りでパソコンは使えるが、Wi-Fiの方の電源は据え置き型なので電源が切れるはずである。
男は一体、誰とチャットをしていたのだろうか。

 

裁判沙汰

男は不倫をした。
それが妻に見つかり、男は妻から責められることになった。
 
男は何とか妻をなだめようとするが、妻は一向に聞く耳を持たない。
 
男は妻と揉めに揉め、ついには刑事裁判にかけられることとなった。
 
終わり。

■解説

不倫では刑事裁判にならない。
ということは、男は妻に対して、暴力を振るった、もしくは妻を殺してしまった。

 

隙間風

今、俺が住んでいるアパートはとにかく古い。
本当に古い。
築40年とかだったかな。
 
その代わり家賃は凄い安いんだけど、やっぱり安いだけある。
家の立て付けが悪いせいか、隙間風が吹いて来たり、その風のせいでドアがガタガタと揺れたりする。
 
この前も夜に勝手にドアが開いた音がして、ビビって見に行ったら隙間風が吹き込んでその風圧でドアが開いただけだった。
本当に心臓に悪い。
 
だから、思い切って連休を使って隙間風が入って来るところを全部塞いだ。
 
これでもう勝手にドアが開いたりすることはないだろう。
 
なんて思ってたら、夜にギギギとドアが開く音がした。
またかよと思ってその時はそのまま眠ったんだ。
 
けど、朝に確認したらちゃんと隙間風が入って来ないようにちゃんと塞がれていた。
 
うんうん。
俺、結構、日曜大工が向いているかも。
 
終わり。

■解説

隙間風が入って来ないなら、なぜ、勝手にドアが開いたのだろうか。
もしかすると、この家には他に誰かが住んでいるか、幽霊がいるのかもしれない。

 

秘密の研究

男は極秘に、脳についてある研究をしていた。
それは若返りの研究で、とても危険で倫理的にも問題になるため、誰にも話していなかった。
 
そんな男も、年を取り、研究が思うように進まなくなる。
そして、研究の完成を間近にして、男は死んでしまった。
 
そんな男の意思を引き続き、まだ幼い、男の孫が研究を引き継いだのだった。
 
終わり。

■解説

男は研究のことを誰にも話していなかった。
ということは、研究が行われていたこと自体、知られていなかったはず。
それなのに、男の孫が研究を引き継げたのはどういうことか。
それは、男が孫の身体に自分の脳を移植するという研究だった。
男は身体を入れ替えることで、若返りを達成した。

 

黒歴史

黒歴史。
今となっては、誰にも話したくないこと。
 
それは誰にでも1つくらいはあるのではないだろうか。
もちろん、俺にもある。
 
俺にとってはまさに小学校の頃がそれだった。
しかも、ご丁寧にそのことを日記にまで書いている。
 
本当に恥ずかしい。
 
この日記は捨ててしまいたいところだが、ある意味、自戒のために残している。
誰かに見られたら、それはもう悶絶どころか、抜け出せない闇に取り込まれてしまいそうだ。
もし、誰かに見つかったのなら、俺は迷わずに悪魔と契約を結ぶだろう。
 
そいつの記憶を消してくれ、と。
 
本当にくだらない内容の日記だ。
 
やれ、友達が30人になっただの、先生に褒められるために勉強やクラブ活動を頑張る、ボランティアにだって参加もしていた。
まわりからいい子だと思われたくて、積極的に手伝いや虐められている子を助けたりなんかもした。
 
ため息が出るほどガキだった。
そんなことがなんの役に立つのだというのだ。
ただの自己満足。
欺瞞。
 
他者の評価なんて関係ない。
いや、人間の評価なんて、その人間の価値観で変わるものだ。
 
だから、世界をより良い方向に導くためにやることは、強大な力を得ることだ。
人では届かぬほどの、圧倒的で偉大な力を。
 
そして、その力を得るには人間の力では無理だ。
となると、もちろん、人外なる者の力がいる。
その力を得られるなら、俺は魂だって捧げよう。
 
全てはこの世界の秩序を取り戻すために。
 
さあ、今日も儀式を始めるとするか。
 
終わり。
 

■解説

周りの人たちに認められようとすることは普通のことである。
しかし、今の語り部はそれを恥ずかしいとまで言っている。
さらに、語り部は人外の者を呼び出すための儀式に夢中になっている。
つまりは、「今」の方が語り部にとって、黒歴史になる可能性が高い。

 

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