意味が分かると怖い話 解説付き Part491~500

意味が分かると怖い話

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アルバム

少女は失踪した姉を探していた。
明るくて、優しくて、いつも少女の味方をしてくれる大好きな姉。
 
そんな姉が少女に何も言わずに失踪したのが信じられなかった。
何か事件に巻き込まれたのかもしれないと警察に相談に行ったが、それらしい報告は届いていないと門前払いされてしまった。
 
それでも少女は諦めきれず、探し続けていた。
 
聞き込みに歩いていると、姉がよく行っていたアンティークショップを見つけた。
なにか、手掛かりがないかと店に入る少女。
 
だが、店に入っても店主は出て来ない。
何気なく、店内を見て回っていると、古びたアルバムを見つけた。
 
手に取って開いて見る少女。
 
アルバムには見覚えのある風景の写真が納められていた。
きっと、この辺りに住んでる人が売りに出したんだろうと、ページをめくる。
 
すると写真の中に、少女の姉の写真があった。
しかも、その写真は少女が見たことのないものだった。
 
驚く少女。
 
そのとき、どこからか、声がした。
 
「こっちにおいでよ」
 
数日後。
少女の捜索願が出された。
 
終わり。

■解説

姉はアルバムの中に取り込まれてしまっていた。
そして、少女も姉と同様に、アルバムの中に取り込まれてしまった。

 

向こう見ずの少年

その少年は向こう見ずで、他の人が怖くてできないことも平気でやってのけてしまう。
 
そんな少年には怖いものなどなく、逆に、なんで他の人はこんなことが怖いのかがわからなかった。
 
そんなある日のこと。
少年は友人から悪魔を呼び出せる方法があることを聞いた。
 
友人は怖くて、その方法を実行できなかったが、少年は恐怖など感じず、悪魔を呼び出してしまった。
 
現れたのは禍々しい蛇だった。
それでも少年は全く恐怖を感じなかった。
 
禍々しい蛇は少年に対して、「なにか願いはないか」と問いかけてくる。
そこで、少年は「怖いというのがどんなものかを知りたい」と答えた。
 
すると、蛇はリンゴを出した。
このリンゴを食べれば、知識を得られるのだという。
それが、恐怖と何の関係があるのかわからなかったが、少年はそのリンゴを食べた。
 
そして、その日以降、少年は危険な行為をしなくなった。
 
終わり。

■解説

蛇が出したのは知識の身。
少年は今まで自分がどれだけ無謀なことをしていたのか、知識として得られたため、恐怖を感じたのである。

 

鏡屋

ある村に鏡屋という店が出来た。
 
その店は手鏡を貸し出し、その鏡を覗き込むと過去が映るというものだ。
 
最初は面白がって村の人たちはこぞって鏡屋に押しかけた。
 
しかし、3ヶ月が経つと誰も鏡屋に来なくなった。
 
そして数年後。
その村は廃村になった。
 
終わり。

■解説

その鏡は過去が映るが、自分の過去とは言っていない。
つまり、様々な人の過去が映ってしまう。
村の人たちは自分の過去を知られたかもしれない恐怖で、村を去ってしまった。

 

かまくら

俺が住んでるところは雪国だったんだけど、最近は気象異常なのか、雪が少ない年が続いた。
 
だから、今年、異常までに雪が降ったことで、妙にテンションが上がった。
昔はよく作ったかまくら。
会社が休みということもあって、大きなかまくらを作ってしまった。
 
気づいたら、外は真っ暗になっている。
 
必死になって時間も忘れて作ってたからお腹も減った。
 
そこで俺はかまくらの中に七輪と鍋を持ち込んで、ラーメンを作って食べた。
お腹いっぱいになったからか、眠くなってくる。
厚着もしてるし、ちょっとくらい寝ても大丈夫だろう。
 
そう思うと、一瞬だった。
 
そして、寝ているとなんだかガリガリと削るような音が聞こえてくる。
 
なんだよ、うるさいなぁ。
せっかくこっちはいい気分で寝ているのに。
 
終わり。

■解説

語り部は雪国に住んでいるということは、しっかりと除雪の整備が整っている地域だと考えらえる。
そして、大雪ということは、朝に除雪車が動き出しているということ。
さらに、ガリガリという音は雪を削りながら除雪する除雪機だと考えられる。
語り部はこのまま寝ていると、除雪機によってミンチにされる可能性が高い。

 

忘年会

年末といえば忘年会だ。
 
会社の人たちとの忘年会は苦痛だが、友達との飲み会はまさしく今年一年の嫌なことを忘れるのにいい機会だと思う。
 
俺は人見知りで恋人はもちろん、友達も一人もいない。
休みもずっと一人で過ごしている。
 
そんな俺でも、年末にいつも忘年会を開く相手がいるのだ。
年に1回だけ会うんだが、その仲は20年以上変わらない。
 
そして、今日はそいつとの忘年会がある。
 
いつもの店に行くと、店員がやってくる。
 
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「はい」
「カウンターへどうぞ」
 
店員に案内されてカウンター席に座り、俺はいつも通りの注文をする。
 
「カシスオレンジ」
「相変わらず、カシスオレンジが好きだな」
 
横を向くと、あいつがいた。
どうやら、もう先に来ていたようだ。
 
俺たちは乾杯をして、今年1年の愚痴を言い合う。
 
やっぱり、話すことは重要だ。
聞いてもらえるだけで、随分とストレス解消になる。
 
楽しい場だと、お酒も進む。
いつもついつい飲み過ぎてしまうが、1年に1度なんだから大目に見て欲しい。
 
「お客様。閉店の時間ですよ」
 
店員に声をかけられ、俺を起き上がる。
どうやら、カウンターで突っ伏して寝てしまったようだ。
 
周りを見ると他に客はもういない。
もちろん、あいつの姿もない。
 
帰る前に一言くらい声をかけてくれればいいのに。
 
……なんて、無理な話か。
 
俺は会計を済ませて、店を出た。
 
終わり。

■解説

語り部は友達が一人もいないと言っている。
なのに、忘年会をしている相手がいるのは、どういうことだろうか。
そして、店に来た時、語り部は店員に一人か?と聞かれて、肯定している。
普通であれば、待ち合わせしているというのではないだろうか。
つまり、「そいつ」とは語り部が作り出した、イマジナリーフレンドかもしれない。

 

腹痛

今まで病気らしい病気はしてこなかった。
それくらい、俺の身体は丈夫だってことだ。
 
特に胃腸は頑丈で、どんなに暴飲暴食をしても影響が出たことはない。
 
だけど、最近、なんでかずっと腹痛に悩まされている。
 
本当は行きたくなかったが、渋々、病院に行った。
 
医師の診断では特に異常はないらしく、原因はわからないそうだ。
 
だけど、痛いものは痛い。
キリキリと痛むのは本当にストレスだ。
 
だから、俺は何度も病院に通うが、いつも言われることは異常がないという結果だ。
 
俺は段々とイライラしてきて、医者に「いいから、どうにかしろ!」と言ってやった。
医者は人の不調を治すのが仕事なんだから当たり前だ。
 
何度も何度も言ったことが功を奏したのか、ようやく医者は「手術しましょう」と言った。
 
俺はそれに同意し、手術を受けた。
 
そして、手術後。
腹痛は治まった。
もう、全然痛くない。
 
だが、それから俺は飯を少しずつしか食べられなくなった。
 
こんなことなら、手術に同意なんてしなければよかった。
 
終わり。

■解説

語り部が受けた手術は胃腸の摘出手術。
取ってしまったので、痛くはないが、そのせいで食事制限がかけられることになってしまった。

 

相合傘

ある日の深夜のことだった。
何気なく散歩をしていたら、突然、雨が降ってきた。
 
降るなんて思ってなかったから、当然、傘なんて持ってきていない。
それに、ここは田舎なので、コンビニみたいに深夜に開いている店もない。
しかも、今は12月。
雨が雪になるほどではないが、寒い。
濡れて帰れば、確実に風邪を引くだろう。
 
なんとか、廃屋の軒下で雨宿りをしていると、既に女の人が同じく雨宿りをしていた。
 
「いやあ、突然、雨が降るなんて、お互いついてないですね」
 
俺は何となくその女の人に話しかけてみた。
すると、女の人はこちらを見て、ほほ笑んだ。
 
「私、傘を持っているので、一緒に入りませんか?」
 
女の人はそう言うと、持っていた傘を広げた。
 
「いいんですか?」
「困ったときはお互い様ですよ」
 
俺はその言葉に甘えて、入れてもらうことにした。
 
その女の人と相合傘をしながら、俺の家の方まで進んでいく。
その道中、何かと話しかけても、女の人は返事をしてくれなかった。
 
気まずさもあり、俺は途中で「ここまででいいです」と言って、そこから走って帰ろうとする。
だが、女の人は「家まで送りますよ」と言った。
 
家まではもう少し。
せっかくそこまで言ってくれたのならと思い、俺はそのまま家まで送ってもらった。
 
家の前についたとき、その女の人は「また会えるといいですね」とほほ笑み、闇に溶け込むようにして行ってしまった。
 
次の日。
俺は風邪を引いて寝込んでしまった。
 
昨日の雨でずぶ濡れになってしまったからだ。
 
終わり。

■解説

女の人は傘を持っているのに、雨宿りをしていることに違和感がある。
そして、語り部はずっと相合傘をしているのに、濡れてしまったというのも変である。
つまり、傘を持った女の人は幽霊で、語り部は雨を避けることができなかった。
最後に女の人が言った「また会えるといいですね」と言う言葉は、風邪をこじらせて、死んで、また会えたらいいという意味だったのかもしれない。

 

ベランダ

一人暮らしの女の子は1階に住まない方がいいって親にしつこく言われてたから、今は3階に住んでいる。
 
少し古い家で駅から遠いけど、家賃が激安だから引っ越すつもりはない。
 
前に、1階に住んでいる友達がベランダに洗濯物を干してたら下着を盗まれたと言っていた。
だけど、私の家は3階だから洗濯物もベランダに干せる。
 
やっぱり、3階はいいね。
 
でも、そんなある日の深夜。
ベランダの窓をコツコツと叩くような音がして、目が覚めた。
 
まさか、誰かがベランダに侵入したんだろうか?
 
私はものすごく怖かったけど、確認しない方がもっと怖い。
台所の包丁を持って、私は恐る恐るカーテンを開けて、ベランダの方を覗いた。
 
そしたら、なんてことはなかった。
ベランダに干していた洗濯物のハンガーが風に揺られて窓に当たっていただけだったのだ。
 
なんだ。
そんなオチか。
 
私は安心して眠りについた。
 
それからというもの、風が強い日にはコンコンと窓を叩く音が響いても気にならなくなった。
 
そして、今日も寝ていると窓がコンコンと鳴った。
無視してると、音が止む。
それと同時に、私は眠りに落ちた。
 
次の日の朝。
ザーッという音で目が覚める。
 
雨だ。
 
私は慌てて飛び起きて、ベランダに出た。
 
でも、私は安心した。
そういえば、昨日は洗濯してなかったんだった。
 
終わり。

■解説

昨日は洗濯物を干していなかったということ。
ということは、昨夜のコンコンという窓を叩く音は一体、なんだったのだろうか。

 

雪だるま

僕は弟のタカヒロのことが嫌いだ。
甘ったれで泣き虫で、本当にイライラする。
 
今日も雪が積もって嬉しくて外で遊んでたら、タカヒロが一緒に遊んでって言ってきた。
だけど、僕は一人で遊びたいから、そこで立って見てろと言った。
 
僕は積もった雪で、雪だるまを作った。
 
大きな雪だるまを2つと、その真ん中に小さい雪だるまを1つ。
お父さんとお母さんと僕だ。
 
すると、お母さんがやってきて、「タカヒロのも作ってあげて」と言われた。
 
僕は仕方ないから、もう一つ雪だるまを作った。
 
その日の夜。
僕はお父さん、お母さん、僕の3人で眠った。
 
終わり。

■解説

語り部は弟を雪だるまにした。
(雪の中に入れた)

 

落石

彼女が死んだ。
俺を庇ったせいで。
 
1ヶ月前、山道を歩いていたところ、上から落石があって、咄嗟に彼女は俺を突き飛ばし、自分は落石に潰されてしまったのだ。
 
俺は本当に彼女が好きだった。
 
彼女が死んでからは俺の心には大きな穴が開いたような感じがする。
 
こんなことなら、俺が彼女を庇って死にたかった。
 
そんなことを考えながら、俺は事故に遭った場所に向かう。
ここにくれば、また、彼女に会えるような気がしたから。
 
その予感は当たっていた。
 
「……こっちに来ちゃダメだからね」
 
俺の前に彼女が現れた。
 
俺は嬉しかった。
例え、幽霊でももう一度、彼女に会えたことに。
 
「動かないで。こっちに来ちゃダメ」
 
彼女には、俺が自殺しようか迷っていることがバレていたのかもしれない。
彼女は必死に、こっちに来るなと言ってくれている。
 
それでも俺は彼女と一緒にいたい。
例えそれが彼女の望まないことだったとしても。
 
俺は彼女が立っているところへ歩く。
 
「連れて行ってくれ」
 
俺がそう言うと、彼女は「バカ……」とつぶやいて消えてしまった。
 
すると、後ろでドンと大きな音がした。
 
振り向くと、そこには落石が落ちていた。
 
彼女に会わなければ、俺はあの石に当たって死んでいたはずだ。
 
彼女は俺に生きろと言ってくれている。
俺は悲しいけど、これからも生きていくことを心に誓った。
 
終わり。

■解説

彼女は「動かないで」と言っている。
つまり、語り部に落石を当てようとしていることになる。
彼女は語り部に死んでほしかったのかもしれない。

 

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