本編
少女は両親の反対を押し切り、一人暮らしをするためにわざわざ遠い場所の大学を受験した。
必死の勉強が実を結び、大学に合格して念願の一人暮らしを勝ち取った。
だが、実際に一人暮らしをしてみると、自由を満喫できることよりもひとりでなんでもしなければならいことの方が苦痛に感じるのだった。
掃除洗濯、料理、買い物など、生活するだけで色々なことをしなければならない。
実家にいるときは全部、母にやってもらっていたのだと実感し、母の偉大さと自分の不甲斐なさに悶々とする毎日を送っていた。
そんなあるとき、記録的な大寒波が来て、氷点下の冷え込みが少女を襲う。
家の中も寒く、何もする気が起きないため、少女は夜ご飯を諦めて寝ることにした。
実家から持ってきた電気敷き毛布を使って寝ようとしたところ、いきなり、停電になってしまう。
これでは敷き毛布が使えない。
布団の中に入っても、冷えていて逆に眠れない。
そこで少女は出していたこたつの中で寝ることにした。
子供の頃はよく、そんなところで寝るなと母に怒られていたが、一人暮らしの今、怒る人はいない。
こういうとき、一人暮らしをしててよかったなと思いながら、少女は朝までこたつの中で眠った。
終わり。
■解説
停電になったということはこたつも使えないはずである。
氷点下の状態で、布団ではなくこたつで寝てしまったとしたら、風邪を引く、もしくは凍死の危険もあるかもしれない。