■本編
男は生まれつき、物凄い幸運の持ち主だった。
欲しいと思った物はすべて手に入ったし、こうなって欲しいと思ったことは実際に思った通りになる。
誰にでも好かれ、男の悪口を言うような人間は誰もいなかった。
世間では有名人というほどでもなかったが、町ではたまに声を掛けられるほどの人気者。
それでも男は慎ましく生きたいと思っているため、派手なことは起こらないが、決してお金に困るようなことも、トラブルも起きない。
その男はまさに神に愛された男だった。
生まれた時からこうだった男は、それが普通だと思っていた。
しかし、他の人と話したことで、そうではないと知った。
男は考えた。
なぜ、自分だけがこんなにも幸運なのだろうかと。
そこで男はある仮説を立てた。
それを確かめるため、男は手を空に掲げた。
すると、男の手に落雷がある。
しかし、男は生きていた。
男はやっぱりかとつぶやき、そして、自ら命を絶った。
それを見た研究者は、「またか」とため息をついた。
終わり。
■解説
男は脳だけの状態で生きていて、研究の対象とされていた。
全てが思い通りになるのは、男が作り出した世界のためだった。