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妻と離婚し、3歳の娘の親権をなんとか取ることができた。
ただ、娘と一緒に暮らせるのはいいが、仕事が忙しくてなかなか娘といる時間が取れないのは何とも皮肉な話だ。
とはいえ、娘を育てていくには仕事をおろそかにするわけにはいかない。
娘には悪いが、寂しい思いをさせてしまうが我慢してもらうしかない。
だが、3歳の娘にそんなことを言っても、通じるわけがない。
娘は一人でいる時間は、ずっと泣き続けているようだ。
その声は物凄いらしく、近隣から苦情が来ていると大家さんに注意された。
育児所に預けたとしても、迎えに行く時間もないし、家政婦さんを雇う余裕もない。
そこで、俺は苦肉の策で、中古品だが、大きなクマのぬいぐるみを買ってプレゼントした。
娘より少し大きいくらいだったので、娘は最初は驚いたようだが、すぐに気に入ってくれた。
今では、いつもそのクマとお話している。
俺がいても、そっちのけでクマと話しているので、それはそれで寂しいと思ってしまうのだから、人間とは勝手な生き物だとつくづく思う。
しかし、娘の寂しい思いが少しでも紛れたのなら嬉しい限りだ。
ただ、最近、少し気になることがある。
娘はよくお友達と一緒に、こんな遊びをしたとか、あんなことをしたとか話してくれる。
最初はおままごととか、お絵かきとか、いつも娘がしていた遊びばかりだった。
だけど、かくれんぼとか、しりとりとか、1人でするには難しいような遊びをしたと言うようになった。
この前なんか、折り紙をしたと言って、ツルを渡してきた。
折り紙なんて教えた記憶はない。
そもそも、ツルなんて、俺自身、折ることができない。
娘は一体、誰から折り紙を教えてもらったんだろうか。
俺は嫌な予感がして、家にカメラを設置して、録画することにした。
誰かが侵入して、娘と遊んでいるのかもしれないと思ったからだ。
すぐに警察に相談しようかと思ったが、根拠が薄いのと、仮に誰かが侵入していたとしても娘に危害を加えているわけではない。
だから、まずは証拠を得ようと思ったのだ。
仕事から帰ってきて、さっそく録画したビデオを再生する。
気のせいであってくれと祈りながら見ていると、最初の方は特に何も問題はなかった。
だが、1時間くらい経ったとき、突然異変が起きた。
なんと、クマのぬいぐるみの背中がパックリと開いて、中から子供が出てきたのだ。
しかも、その子供の顔が娘とそっくりだった。
娘が、クマのぬいぐるみから出てきた娘そっくりな子供と一緒に遊び始める。
俺は慌ててビデオを止め、娘が寝ている部屋へと行き、クマのぬいぐるみを取って、隠した。
娘は物凄く泣くかもしれない。
でも、こんなものを娘と一緒にしておくわけにはいかない。
すぐに処分しよう。
だが、次の日。
娘はクマのぬいぐるみが無くなったことに、何も言わなかった。
あんなに仲良くしていたのにだ。
とにかく俺はクマのぬいぐるみを燃やして処分した。
今度はぬいぐるみじゃない、何かおもちゃを買おう。
そう思いながら、帰宅する。
娘は遅い時間なのに起きていて、しかも、泣いた様子はなかった。
そして、娘はこう言った。
「おかえりなさい、お父さん」
昨日まで、娘は俺のことを「パパ」と呼んでいた。
それから1ヶ月が経った。
だけど、怖くて、まだあのビデオの続きを見ることができない。

