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意味が分かると怖い話 解説付き Part511~520

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脱出

男が目覚めると、そこには何もない部屋だった。
あるのは部屋の前方と後方にドアが1つずつあるだけで、それ以外、窓もないような部屋だった。
 
混乱する男だったが、とりあえず部屋から出ようとドアを開けようとするが、鍵がかかっている。
 
よく見るとドアには「この扉を開くためには下の問題を答えろ」と書かれており、その下に何やら問題が書いてある。
そして、ドアの横には答えを入力するパネルがあった。
 
男は時間がかかったが、何とか問題を解くことに成功した。
その答えをパネルに入力すると、ドアの鍵が外れ、開けることができる。
 
だが、その先の部屋も同じようにドアがあるだけで、他には何もない部屋だった。
 
そして、ドアにはまた問題が書かれている。
その問題の答えを解くと、ドアの鍵が外れ、次のドアが開くことができる。
 
男は出口を目指して、問題を解き、次の部屋へと入る。
 
それを10回ほど繰り返したときだった。
 
ドアに「この扉を開くためには下の問題を答えろ」と書かれていた。
 
それを見て、男は絶望した。
 
終わり。

■解説

男は最初の部屋に戻ってしまった。
つまり、男は永遠に出られないことになる。

 

オンラインミーティング

最近は本当に便利な世の中になったものだ。
パソコンさえあれば、離れた場所でも会議ができるなんて。
 
20年前までは考えもしなかった。
しかも、家からだって会議ができる。
 
今となってはもう、会社に行って会議することが億劫になってしまった。
 
カメラに映らないから、ズボンだってパジャマのままだ。
 
ただ、問題が一つある。
それは、部屋を綺麗にしておかないとならないことだ。
 
なぜなら、部屋もカメラに映ってしまうからだ。
 
なんて思っていたら、実は背景は作り物を表示できるらしい。
さっそく試してみる。
 
おお。
確かに、背景が切り替わった。
 
これなら、部屋の中を気にすることも必要なくなった。
 
だけど、逆にそのせいで、部屋を片付けることがなくなって汚いままになってしまうのが考え物だ。
 
そんなあるときだった。
不意に、相手から「後ろ、誰か通りませんでした?」と言われた。
 
慌てて後ろを見る。
すると、壁に女優のポスターが貼ってある。
 
慌てて剥がし、「友達から押し付けられて……」と言って誤魔化した。
 
相手は気を使ってあまりそのことは突っ込んでこなかった。
危ない危ない。
 
少しくらいは部屋を片付けないといけないな。
 
終わり。

■解説

語り部は背景を切り替えているはずである。
なので、相手は壁のポスターのことを言ってるのではない。
では、相手が言っていた誰かが通ったいつのは、一体、なんだったのだろうか。

 

ミイラ

男は展示場の警備員をしている。
 
怖がりな男は夜の見回りがとても苦手で、いつも神経を擦り減らせていた。
しかも、今、展示されているのは世界のミイラである。
 
いつも以上に不気味な雰囲気に、ビクビクしながらも深夜の見回りを行う。
 
もう少しで終わろうとしたときだった。
男は思わず、ヒッと小さく悲鳴を上げてしまった。
 
なぜなら、ミイラと目が合ってしまったからだ。
 
「そんなわけがない」
 
そう思いながら、もう一度、恐る恐るミイラの方を見た。
 
だが、やはり気のせいでミイラは上を見たままだった。
 
男は安堵し、休憩室へと向かったのだった。
 
終わり。

■解説

ミイラは目がないはずである。
なのに、語り部と目が合い、その後は上を向いている。
つまり、このミイラには目があることになる。
もしかすると、このミイラはこの世のものではないものが宿っているのかもしれない。

 

地下室

男は郊外に中古の家を購入した。
 
新築だったのに、随分と安く買えて、男は満足していた。
 
しかし、その家に引っ越してきて1ヶ月間、男はあることに悩まされていた。
それは家にある地下室から、何かが壁を引っ掻くような音がすることだ。
 
地下室は窓もなく、完全な密室なので誰も入れないはず。
 
男は確認しに行こうとしたが、どうしても怖くて決心がつかなかった。
 
そして、新築なのに安く買えたのはこういうことだったのかと思い、酷く後悔する。
 
引っ越して、この家を売りに出そうかとも思ったが、地下からの音以外は快適に暮らせているので、手放したくない。
 
そこで男は意を決して、地下室を見に行くことにした。
その日は酒を飲んで、気が大きくなっていたこともあり、男は夜中に地下室のドアを開いた。
 
すると、そこには一匹の猫がいた。
 
なんだ。
迷い猫か。
 
男は安堵し、同時に、ずっとビクビクしていたことが情けなくなった。
 
男は猫を逃がし、久しぶりにゆっくりと眠ったのだった。
 
終わり。

■解説

地下室は窓もなく密室なので、猫も入って来れないはずである。
そして、音は1ヶ月以上続いている。
餌も水もない状態で猫が1ヶ月生きられるわけがない。
もしかすると、その猫は普通の猫ではなく、猫の幽霊なのかもしれない。

 

絵本

トムはある日、母親に本屋に連れて行ってもらった。
 
母親から1冊だけ好きな絵本を買っていいと言われて、トムは喜んで絵本を選んでいた。
選んでいる中で、1冊の絵本がトムの気を引いた。
 
その絵本の主人公の子供が、お父さんがいなくて、いつも虐められているという部分で、自分と同じだと思ったからだ。
その主人公の子供が黒猫に連れられて、天国に行くという内容も、トムが気に入ったところだった。
 
母親にその本を買ってもらい、家に帰る途中に、おばあさんが車に轢かれるという場面に遭遇した。
 
怖いなぁと思いながら、家に帰り、夕食を食べてお風呂に入り、寝る時間になった。
 
トムはさっそく、今日、買ってもらった絵本を読む。
 
お父さんがいない主人公はいつも虐められていた。
でも、その主人公はお母さんを心配させたくなくて、そのことを言えずにいた。
そんなある日、母親がある本を買ってくれた。
そして、家に帰る途中に、おばあさんが倒れて死んでしまう。
 
そこまで読んだとき、本屋ではこんな場面なんてなかったのに、と思いながらトムは絵本を閉じた。
 
すると、どこからか猫の鳴き声が聞こえる。
 
気づくと、いつの間にかトムの隣に黒猫がチョコンと座っていた。
 
終わり。

■解説

その絵本はトムのことが描かれている不思議な本。
本屋で読んだとき、トムは、この絵本のラストで主人公が黒猫に天国に連れて行ってくれると書いてあった。
つまり、この後、トムは黒猫によって天国に連れて行かれてしまう。

 

育児ノイローゼ

女はずっと子供を持つのが夢だった。
 
女は一人っ子で、両親も共働きで、子供の頃はずっと一人でいる時間が多かった。
だから、子供ができれば、ちゃんと愛情を注ごうと思っていた。
 
だが、実際に子供ができ、出産して、面倒を見ているうちに、自分が夢を見ていたことに気づいた。
夜泣きや授乳、おしめを取り換えたりと、ほとんど寝る時間がない状態。
旦那も、ほとんど育児には参加してくれない。
 
女はいつしか、子供なんて産むんじゃなかったと後悔するようになる。
 
この子がいなければ、専業主婦として自由な時間を堪能できていた。
あの生活が懐かしい。
 
だが、子供が泣けば世話をしなくてはならない。
しかし、女はもう限界だった。
 
そんなある日、女はネットであることを検索した。
 
その方法を使えば、子供は泣かなくなる。
その代わり、子供はもう笑わなくなるのだという。
 
女は子供に対してもう愛情がなかったため、この先、子供が笑わなくなっても構わなかった。
なので、その方法を実行した。
 
その方法は効果抜群で、子供はもう泣くことはなくなり、笑わなくもなった。
 
終わり。

■解説

女が調べたのは「子供を殺す方法」だった。

 

通り魔

最近、近所で通り魔が出ていて、何人も被害者が出ている。
 
通り魔は手斧のようなものを使っているようで、被害者の傷跡は全て一致していた。
ただ、共通しているのは凶器のみで、被害者には共通点もなく、犯行日時もバラバラだった。
怨恨ではなく快楽殺人だと思われるため、警察はなかなか犯人を絞り切れずにいる。
 
張り込みを行うが、犯人はそれをあざ笑うかのように、張り込みしている場所以外で犯行が行われていく。
そのことから、犯人は警察の関係者ではないかという話もあがった。
 
だが、一向に捜査は進まない。
 
そこで警察はおとり捜査を行うことにする。
 
とても危険だが、それしか方法はなかった。
 
おとり捜査を続けて1ヶ月が経った頃だった。
捜査員が何者かに襲われる。
 
捜査員は腕を刺されながらも、襲ってきた人物を何とか取り押さえた。
 
全治2ヶ月の大けがを負ったが、捜査員の命には別状はなかった。
 
これにより、町の人たちは長かった通り魔事件が解決したと安堵した。
 
終わり。

■解説

通り魔が持っている凶器は手斧らしき物のはずである。
しかし、捜査員は「刺された」と言っている。
手斧で刺すというのには違和感がある。
つまり、捕まった人間と通り魔は別人の可能性が高い。
事件はまだ終わっていないようだ。

 

クマ

最近、クマの出没の頻度が上がっているらしい。
登山好きな者にとっては不安しかない。
 
一応、クマ避けの鈴やスプレーなんかを所持しているが、心許ない。
 
一時期は登山をするのを控えようと考えたこともあったが、クマが出没しなくなるのいつになるかわからないし、いくら頻度が上がっているとはいえ、そうそう遭遇はしないだろう。
 
そう思って、連休中に登山に出掛けた。
 
比較的、クマが出ない場所を通れば大丈夫だろうと思っていると、運が悪いことに、クマと遭遇してしまった。
 
本当に運が悪い。
いつもそうだ。
起こって欲しくないと思ったことは大体起こる。
今までもずっとそうだった。
 
とはいえ、まだ襲われると決まったわけではない。
パニックにならず、ちゃんと対処できれば平気なはずだ。
 
まず、心掛けることは、クマから目を離さないことと、背中を向けないこと。
背中を向ければ、一気に襲い掛かってくる。
それだけは絶対に避けないとならない。
 
クマの目を見ながら、ジリジリと後ずさる。
 
クマはこっちを警戒しているのか、動こうとしない。
 
これなら逃げられそうだ。
後ろから、もう一頭、現れなければ。
 
そう思ったときだった。
後ろから、ガサガサという音がした。
 
なんてことだ。
またか。
起こって欲しくないと思ったことが起こる。
 
つまり、今度は後ろからもう一頭、クマが出たのかもしれない。
 
恐る恐る、後ろを振り向く。
 
だが、そこにいたのはキツネだった。
 
その姿を見て、安堵する。
 
いくらなんでも、もう一頭現れるなんて、そこまで運が悪いなんてことはなかったようだ。
 
終わり。

■解説

語り部は振り返ったことにより、クマから目を逸らし、背中を見せてしまっている。
次の瞬間には語り部はクマに襲われる可能性が高い。

 

悪魔より恐ろしいもの

青年は悪魔召喚に成功した。
 
召喚された悪魔は魂と交換に願い事を一つ叶えてやると言った。
 
そこで青年は考えた。
悪魔よりも恐ろしい存在になれば、魂を取られないのではないか、と。
 
そして、青年は悪魔にそう願うと、悪魔もそれを了承した。
 
しかし、青年の身体には何も変化は起こらなかった。
 
数日後。
青年は悪魔に魂を取られてしまったのだった。
 
終わり。

■解説

人間こそが悪魔より恐ろしい存在だった。

 

デスゲーム

男の元にある招待状が届いた。
 
それはデスゲームに参加することができるというものだった。
男は最初、誰が好き好んでそんなものに参加するかと思い、その招待状を破り捨てようとした。
 
だが、内容をよく読むと、どうやら男は参加者に指示をする役割とのことだった。
 
男は思った。
間近で人が人を殺すところを見ることができると。
 
男はさっそく、参加すると返事を送った。
 
そして、デスゲーム当日。
館の一室で、モニター越しに参加者に対してデスゲームのルールを説明した。
 
「この館にいる人間が一人になるまで殺し合ってください」
 
終わり。

■解説

男は館内で指示を出している。
ということは、男自身もカウントされていることになる。
つまり、男も参加者であり、殺されてしまう可能性が高い。

 

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