本編
最近、男は会社の同僚の勧めで車を購入した。
同僚の親戚が車の販売をやっているということで、随分と安く買うことができた。
しかし、新車だというのにどうも調子が悪い。
そこで、車を買ったお店で整備をしてもらう。
整備が終わり、車が戻ってきたがそれでも車の調子は悪いままだ。
すぐにエンジンがかからなくなってしまう。
それを同僚に相談すると、同僚はすぐにバッテリーが上がるのは、バッテリーがダメになっているかもしれないと言う。
バッテリーを交換した方がいいと同僚は男に助言する。
だが、車を買った店の整備では不安が残るので、自分で交換したらどうかと提案した。
同僚は車に詳しいので大丈夫だと話し、男はそれを信じて自分で交換することにした。
男が工具と新品のバッテリーを用意する。
そして、同僚がバッテリー交換の指示を出していく。
「バッテリーが上がっていますが、念のためプラスの方から外してください」
男は言われた通り、プラスの方から取り外しにかかる。
しかし、その瞬間。
男はバチという音と共に感電死してしまった。
その後、近所の人が警察に通報し、男の死体が発見された。
警察は心臓発作による心肺停止と断定した。
終わり
■解説
新車で買ったはずなのに、バッテリーがダメになっているのはおかしい。
また、その場合はお店に言えば無料で交換してくれるはずである。
それなのに同僚は男に自分に替えるように勧めている。
さらに、通常バッテリーは「マイナス」の方から外すのが正しい。
バッテリーが上がっているのなら、バッテリー内の電力がなくなっていることである。
また、バッテリーの電力では感電死させるほどの電力はない。
男が感電死した後、警察に連絡したのは同僚ではなく近所の人である。
つまり、同僚は警察が来た際は近くにいなかったと考えられる。
同僚と、その親戚は最初から男の命を狙って車を買わせたのかもしれない。