本編
最近は景気が悪く、暗いニュースばかりが連日放送されている。
直接、自分に関係なくてもなんだか落ち込んでくる。
周りも同じように、なんか暗い感じがする。
休みの日も家でゲームや、ゴロゴロして終わってしまう。
このままじゃ、どんどん気が滅入ってくる。
友達と遊びに行こうと思っても、お金がない。
どうしたものかと考えていると、友達の一人が鍋をやろうと言ってきた。
確かに一人だと鍋はやらない。
寒い日も続いているから、鍋も美味しく感じるだろう。
だが、その友達はどうせ鍋をやるなら、楽しもうと言い出した。
何を言い出したかと思えば、その友達は闇鍋をやってみたいらしい。
闇鍋なんてよく聞くが、実際にやった人なんてほとんどいないだろう。
前だったら絶対にやろうなんて思わなかったはずだ。
でも、今はとにかく、何かやりたいという思いだった。
たとえ、どんなくだらないことでも。
なので、俺は闇鍋をやることを了承し、他にも友達を誘った。
みんな、退屈していたのか、俺の誘いに喜んできてくれた。
それぞれ用意した食材を持って、家にやってくる。
順番に、用意した食材を入れていく。
まずはビールで乾杯した後、電気を消す。
ルールはもちろん、一度掴んだ食材は食べ切ること。
何が入っているかわからない。
さすがに食べ物以外を入れることは禁止にしているが、鍋に合わない食材だってある。
俺だって、いたずら心で茄子を入れたりしている。
順番に箸を鍋に突っ込み、掴んだものを食べていく。
その都度、悲鳴のような声が聞こえてくる。
くだらないが、なんだかワクワクしてきた。
俺も順番が来て、恐る恐る箸を鍋に入れる。
怖さ半分、好奇心半分。
そして、箸で何かを掴む。
ゆっくりと口の中に入れる。
シャリ。
鍋には合わない触感だ。
うげっ!
俺が掴んだのはどうやらスイカだったらしい。
まさか、フルーツを入れてくるとは思わなかった。
けど、一度掴んだものは食べ切るのがルール。
俺は何とかスイカを飲み込んだ。
後味は最悪だ。
こういうときはガンガン飲んで、テンションを上げるしかない。
終わり。
■解説
語り部は鍋を食べる前にビールで乾杯している。
ビールとスイカの食べ合わせは最悪で、組み合わせると脱水症状になる恐れがある。
利尿作用によりビールが進み、急性アルコール中毒になる危険性もある。