本編
タカシは大学に入学するにあたり、初めて一人暮らしをすることになった。
その解放感と嬉しさで、タカシは大学で出来た友達をさっそく家に呼ぶことにした。
マサシとマサオとカオリを呼ぶことになった。
タカシは人数分の食べ物と飲み物を用意し、女の子が来るのでトイレのタンクに置くだけの洗浄剤も買い、ちょっとしたイタズラ心でブーブークッションを買った。
そして、当日。
みんなが家にやってきた。
最初はワイワイとゲームをしていたが、マサオが喉が渇いたと立ち上がった。
「あれ? ジュース一本足りなくないか?」
「マジで? じゃあ、俺、いいわ。麦茶あるし」
「おい、タカシ! トイレになに、オシャレなもの置いてるんだよ」
「ああ、昨日買ったんだよ。まだ俺、トイレ使ってないんだけどどうだった?」
「なんか、すごい濃い青色の水が出た」
「最初はすげー色、濃いよな」
そう話していると、カオリがブーブークッションに座った。
すると、ブーという大きな音が出て、みんな笑う。
ただ、その音が大きすぎるので、タカシはすぐに捨てようと思っていた。
その日は楽しく過ごし、みんな帰っていった。
そして、その夜。
寝ているといきなり、ブーと言う音が響いた。
びっくりして起きるタカシ。
この家にはタカシしかいない。
もしかしたら、家に幽霊がいるかもしれない。
そう思い、タカシは引っ越しを決意した。
終わり。
■解説
幽霊は質量を持たないので、ブーブークッションを鳴らすのは難しい。
ポルターガイストだったとしても、クッションが動いたとしても、やはり音を鳴らすのは困難ではないだろうか。
そして、ジュースが1本足りないことや、買ったばかりのトイレの洗浄機の洗浄液が流れたことを考えると、幽霊ではなく、タカシの家に誰かがいると考えた方が自然なのかもしれない。