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ロウソク

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本編

男は登山が趣味だった。
夏は忙しく、登山ができなかったので、その年は冬山に挑戦することにした。
 
しかし、初めての冬山は登山に慣れた男でも厳しく、遭難してしまった。
 
日が暮れ、テントを持ち込んでいなかった男は焦り始める。
何とか道を探そうと歩いていると、小さな小屋を見つけた。
 
男はその小屋で一晩を過ごすことにした。
 
小屋に入ると、外よりはマシだが、それでも凍えるように寒い。
そこで、暖がとれるものがないか小屋の中を探す。
しかし、毛布や燃やすものはない。
あるのは、一本の小さなロウソクだけだった。
 
夜になるとさらに気温が下がっていく。
寝てしまうと死ぬと考えた男は何とか寝ないように耐えるが、気を抜くと眠ってしまいそうになる。
 
そこで男はロウソクに火をともしてみた。
ロウソクの火を見ていると、なんだか温かくなった気がした。
 
さらに、ロウソクの火が男を照らし、その光により男の影が出来る。
すると、不思議なことに男の影が話しかけてきた。
 
死ぬ前の幻覚かと思いながらも、男はその影と話続けた。
そのおかげか、男は朝まで寝ずに済む。
 
そして、朝になり、男はなんとか下山に成功した。
 
終わり。

■解説

ロウソクは小さいものだと書かれている。
そのロウソクで朝までもつとは思えない。
つまり、朝が来る前にロウソクは消えているはずである。
そうなれば、影も消えてしまうはず。
では、朝まで男と話していたのは何者だったのだろうか。

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