■本編
男はとても気が重かった。
なぜなら、明日から新人研修が始まるからである。
男が所属する会社の新人研修はとても厳しく、毎年何人かが精神的に病んでしまうほどだ。
その新人研修の教官を、男がやるのである。
社長からは絶対に手を緩めるなと命令され、逆に誰も精神的に病んだ者が出なかったら怒られるほどだ。
今年の新人は16名。
それを1人で見なければならいのもあるが、精神を病んでリタイアする新人を見るのは本当につらかった。
今年は怒られてもいいから、全員が無事に新人研修を終えれるようにしようと思った。
しかし、男の考えとは裏腹に、その年の新人研修ではついに死者が出てしまった。
会社はこのことをもみ消し、隠蔽してしまう。
そして、その年の新人研修は誰一人欠けることなく、入社することになった。
終わり。
■解説
死者が出たと言っているのに、「新人は」誰一人欠けることはないと言っている。
つまり、その年の新人研修で出た死者は教官の方である。
男は新人たちのうっぷんが爆発し、殺されてしまった。
そのこともあり、新人は誰一人逃げられず、入社することになった。