■本編
俺は5年ぶりに外に出た。
なぜなら、今日は初めてのオフ会だからだ。
3年前からハマったオンラインゲーム。
その中でギルドメンバーと話すのが俺の唯一の楽しみなのだ。
メンバーのharuという人と結構、仲良くなり、ギルドメンバーを誘ってオフ会をやろうということになった。
正直、部屋から出たくはなかったが、これも人生の立ち直る切っ掛けと考えて、俺は参加を承諾した。
本音を言うと、haruさんに会いたかったというのが大きい。
お店に行くと、どうやら俺が一番乗りのようだった。
少し待っていると見知った女が店に入って来て、一直線にこちらにやってきた。
「よかった、出て来てくれて。haruです」
そう言って女が俺の前に座った。
俺はただただ頭が真っ白になり、何も言うことができなかった。
終わり。
■解説
店に入って真っすぐ語り部のところに来たということは、haruは語り部の顔とハンドルネームを知っていることになる。
そして、語り部はその女性を「見知った女」と言っている。
つまり、やってきたのは母親の可能性が高い。