■本編
女の子が母親と道を歩いていると、三体のお地蔵さんが並んでいるのを見つけた。
「あ、お母さん。お地蔵さんだ」
「そうね」
「ねえ、どうしてこのお地蔵さんは赤ちゃんがしてるのを、つけてるの?」
「この赤いよだれかけはね、赤ちゃんの供養のためなのよ」
「赤ちゃんの?」
「そう。この辺はね、昔は洪水が起こったとき、神様を鎮めるために赤ちゃんを生贄にしたらしいわ。それで、生贄にした赤ちゃんの分、こうやってお地蔵さんを建てたんだって」
「……怖いね」
「赤ちゃんが静かに寝られるように、お参りしていこっか」
「うん!」
女の子は母親と一緒にお地蔵さんに手を合わせた。
それから、女の子はここを通るたびに手を合わせるようになった。
そんなある日。
女の子は学校で、先生のお手伝いをしたことで、飴を貰った。
家族みんなで食べようと思い、喜んで持って帰ろうとする女の子。
だが、そこでハッと気が付いた。
家族は父親、母親、兄、妹がいる。
そう考えると1つ足りない。
そこで女は帰るときにお地蔵さんのところに寄った。
お地蔵さんの前に1つずつ飴を置く。
数もぴったりだった。
帰って、そのことを母親に話すと、母親は女の子を褒めてくれた。
女の子は嬉しくなり、また今度、お供え物を持って行こうと思うのだった。
終わり。
■解説
最初、お地蔵さんの数は三体である。
だが、飴を貰って帰る際、女の子は家族分として1つ足りない状態である。
家族は、女の子、両親、兄、妹の5人となる。
1つ足りないということは、飴は「4つ」貰ったことになる。
しかし、女の子は1つずつお地蔵さんの前に置いて、数がピッタリと言っている。
つまり、お地蔵さんが一体増えていることになる。
このお地蔵さんは生贄にされた赤ん坊がいたときに作られるものだと母親は説明している。
ということは、最近、赤ん坊が生贄に捧げられた可能性が高い。