■本編
友達に人の死を予言できる奴がいる。
芸能人の〇〇が1ヶ月から3ヶ月以内に病気で死ぬとか、●●が半年以内に自殺するとか、ことごとく当てている。
あまりにも当てるから、その友達のことを死神と言っているやつもいるくらいだ。
周りも面白がって、色んな芸能人に対して「いつ死ぬの?」と聞いている。
だけど、その友達は「いくらなんでも、そんなにコロコロ死なないって」と言ってそんなにたくさんの予言はしない。
そんな中、また、友達がある芸能人の死を当てた。
なんと心筋梗塞っていうピンポンとでだ。
俺は結構、その友達と仲が良くて、この前家で宅飲みをしたとき、なんでそんなに当てられるのかを聞いてみた。
するとその友達は「まあ、お前なら言ってもいいか。他言するなよ」と前置きをしてから教えてくれた。
そのトリックは実に簡単なものだった。
その友達は親戚が大きな病院を経営していて、そこに多くの芸能人が来るらしいのだ。
そして、その診察結果をコソッと教えてもらっていたらしい。
なるほど。
俺は妙に納得した。
同じ病死でも、当てられない芸能人がいたのは、その芸能人はその病院に行ってなかったからだろう。
病死や自殺は病状が悪化していることやうつ病を発症しているとかで、予想したのだそうだ。
そして、またその友人はある芸能人の死を予想した。
その1週間後、その芸能人は自宅で刺殺されたとニュースが流れてきた。
周りはまた、その友達が当てたことで大騒ぎをしている。
タネを知ってる俺はちょっと冷めた気分でそれ見てた。
こんなことなら、教えてもらわなければよかった。
終わり。
■解説
語り部の友人が死を当てられたのは、病気や自殺くらいである。
だが、最後の予想は「殺人」である。
では、なぜ、その友人は当てることができたのだろうか。
もしかすると、その友人が犯人なのかもしれない。