■本編
男は世の中に絶望していた。
色々な人間に騙され、裏切られ、罵られて生きてきた。
男はこの世に希望を見出せず、自殺を試みる。
だが、そのたびに失敗し、助けられてしまう。
それでも何度も何度も自殺を試みる男。
あまりに失敗するので、男は誰にも見つからない場所で自殺しようと考える。
男が選んだのは山の近くに建っている、廃墟になった病院だった。
その病院は、以前は心霊スポットで有名だったが、今では誰も近寄らないのだという。
男はちょうどいいと思い、今度こそ、そこで自殺を遂げると希望を持って病院に行った。
だが、男は自殺をすることなく戻ってくる。
そして、男は二度と自殺をしようとはしなくなった。
男は前以上に絶望することになってしまったのだった。
終わり。
■解説
男が自殺しようとして向かった場所は『心霊スポット』だった。
ではなぜ、そこに人が近寄らなくなったのか。
それは、まったく幽霊が出ないか、もしくは本物の幽霊が出るからと考えられる。
男はそこに行った後、二度と自殺をすることはなくなったが、絶望することになった。
それはなぜか。
つまり、男は廃墟の病院で幽霊に会い、『死んでも苦しむことになる』と知ったことで、死ぬことは意味がないと理解したからである。
なので、男は前以上に絶望することになったのであった。