■本編
男は工事現場で働いている。
今日も重機を使っての、建物の解体作業を行う。
いつも細心の注意を払って作業をしているが、事故というものはどうしても起きてしまう。
その日も、重機の操縦には十分な注意をしていたが、吊っていたワイヤーが切れてしまい、鉄骨を落としてしまった。
鉄骨は道路の方へと落下し、辺りには衝突音と悲鳴と鈍い破裂音が響いた。
男は慌てて道路へと様子を見に行く。
辺りは大騒ぎになっていて、道路にはジュースが入ったペットボトルが散乱し、中身もぶちまけられていた。
散らばっていたジュースは配送業者が、急発進したことで荷台から落ちて散らばったらしい。
運転手は当然のように男に対して激怒した。
謝ることしかできなかった男だが、散らばったペットボトルの商品には1つも破損がないということで、穏便に済んだ。
男は安堵し、これからも気を付けようと心に誓った。
終わり。
■解説
ペットボトルの商品には1つも破損がなかったのに、「鈍い破裂音」がしたのと「中身がぶちまけられていた」というのはなんだったのか。
つまり、商品には当たらなかったが、「人」に当たった可能性がある。
落下した鉄骨の下には潰れた人間がいるかもしれない。