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【洒落怖】今もいる

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自分の家が欲しい。
ひと昔前までは、それは当たり前の感覚だったかもしれない。
ただ、今の時代はローンを払い続けてまで家を買うというのはリスクという考え方もある。

俺はどちらかというと、その考えに近い。
車も乗れれば何でもいいというのと同じく、家なんて住めればいい。
逆に家を買ってしまうと、そこから動けなくなってしまう。

近所に迷惑な人間がいても、気軽に引っ越しなんてできない。
だから賃貸の方がいいとさえ思っていた。

だが、妻の考えは違うようで、長い時間を過ごす家なのだから、自分好みの場所にしたいのだという。
その気持ちも理解できないわけでもない。

とはいえ、やはりこのご時世的に、新築を建てるというのはリスクが大きいというのもある。
それは妻も思っていることだった。
そこで、俺たちは間をとって、中古の家を買おうということになった。

せめて理想に近い家を探そうと、妻は不動産会社に通い続け、3年を費やしてようやくお気に入りの家を見つける。

引っ越してみると、妻が3年かけて探しただけあって、すごくいいところだった。
正直、賃貸でいいと思っていた考えが揺らぐほどに。

ただ、住んでから1年も経つと、いい意味でも悪い意味でも新鮮さが消えてしまう。
いい場所が当たり前になり、感覚的には賃貸のころと変わらなくなっていた。

だが、妻は賃貸ではないことをいいことに、家の中を色々と自分好みに改造を始めている。

そんなある日のことだった。

妻が家の図面を見ながら首を捻っていた。
どうしたのかと思って聞いてみると、家の外に『納屋』があると載っているのだという。

しかし、実際はその場所には納屋どころか、何もない空きスペースだ。
引っ越してきた当初は、確かに妙なスペースだと思ったが、いつの間にか気にしなくなっていた。

単に予算不足で作るのをやめたんじゃないかと言ったら、妻もそれで納得した。
そして、妻はどうせならそのスペースに納屋を作りたいと言い始め、準備を始める。

その次の日だった。
俺は妻に呼ばれて、その空きスペースに連れていかれた。

何もないスペースだと思っていたが、よくよく見てみると地面に妙なところがあるのがわかる。
土を掘り返したような跡があった。

気になって少し掘ってみると、扉が出てきた。
鉄製のしっかりとした扉だった。
重かったが、何とか開けてみると下に降りる階段がある。

中を覗いてみると、部屋のような空間が広がっていた。
それはちょうど、図面に書かれていた納屋くらいの大きさだ。

どうやら納屋は地上ではなく、地下に作っていたということだろう。
なんでそんなことをしたのかがわからない。

だが、そんな隠し部屋みたいなものを見れば、好奇心も湧いてくる。
俺はスマホのライトを頼りに、妻と一緒に階段を下りていく。

そこはコンクリートに囲まれ、何もない部屋だった。
部屋というより倉庫や牢屋みたいな感じだ。

収納場所として使えそうかと思って、部屋の隅にライトの光を当てた時だった。

『それ』はいた。

膝を抱えて丸まっている、5歳くらいの子供ほどの影。
だが、光が当たった瞬間、信じられない角度で首がこちらを向いた。
毛が一本もない湿った皮膚に、顔の半分を占めるような巨大な眼球が二つ、爛々と輝いている。

『それ』は俺たちに気付くと、いきなり立ち上がった。
そして、金属を引っかいたような声で何かを叫んだ。

俺たちは慌てて階段を登って、扉を閉めた。
内側から開けられないように、その場所にタイヤや重いものを置く。

俺と妻は、この件を通報しようかと思ったが、説明を求められてもマズイと考えた。
なぜなら、この家に引っ越してから1年が経っている。
『それ』を閉じ込めたのが俺たちだと思われるかもしれない。
そう考えると、通報できずにいた。

同様に、家を売るということのできずにいた。
もし、不動産会社の人に、この扉を見つけられたら、なんと説明していいかわらかない。

どうしていいかわからないまま、それから5年が経った。

今でも、あの部屋の上に物を置いたまま、近づかないようにしている。

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