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日本で1日で平均、何人が死んでるか知ってる?
大体、4000人くらいなんだって。
1日でだよ。
凄い、多いよね。
その中で、交通事故で死ぬのは100人くらいらしい。
そう考えるとさ、死って意外と身近なんじゃないかって思う。
次は僕かもしれない。
なんて考えてしまう。
それとね。
死ぬ人がいるってことは、その分、お葬式もあるってこと。
家の近くに、お葬式をやるところがあるから、よく看板で誰かのお葬式をやってるって出てたりする。
別にそれは珍しくない。
だから、あんまり気にしなくなってる。
でもね。
凄く多いときがあるんだ。
え? また?
って感じで。
毎日やってるんじゃないかって思うくらい、看板が出てる。
その日もさ、また出てるって思ったんだ。
でもね、そのとき、僕は凄くビックリした。
だって、看板に書いてあった名前が『僕の名前』だったから。
おかしいよね。
普通はさ、苗字しか書かないよね。
いつも『〇〇家』ってしか書いてない。
名前まで書いてあるのなんて、初めて見たんだ。
しかも、僕と同じ名前だ。
苗字も名前も、漢字も一緒。
なんだか、凄く怖かった。
本当は走って逃げればよかったんだ。
でもね。
なんだか気になっちゃったんだ。
自分と同じ名前の人のお葬式だったから。
今、考えるとなんでこんなことをしたのかわからない。
人のお葬式に行こうなんて。
しかも、学校に行く途中なのに。
それで僕はそのままお葬式の部屋に入った。
僕はなにがどうなってるのかわからなくて、怖くてその場から動けなくなった。
だって、そこでやってたのは『僕の』お葬式だったんだ。
写真も僕のが置いてあった。
前の方のイスにはお母さんとお父さんが座ってて、泣いてた。
そしたら、なんか小さいヒソヒソ話が聞こえてくる。
「屋上から落ちて亡くなったんだって」
僕は怖くなって、走って逃げた。
急いで学校に行った。
お葬式の部屋に入ってたせいで遅刻して、先生に怒られたけど、それよりも僕のお葬式をやってたことの方が怖かった。
午前中の授業は、怖くてずっと震えてた。
先生に保健室に行くかって言われたけど、クラスのみんなと一緒にいる方がよかったから、大丈夫って言った。
給食も何を食べたか覚えてない。
たぶん、ほとんど残したと思う。
全然、食べたくなかったし。
お昼休みになったら、ケイタがいつもみたいに屋上に行こうって誘ってきた。
僕は怖くて、行かないって言ったのに、ケイタは無理やり僕の手を掴んで、屋上に連れて行った。
そして、そこでケイタは言ったんだ。
「今日は金網の外に行ってみようぜ」
ケイタはいたずら好きだ。
僕はいつも、そのいたずらに付き合わされる。
でも、お葬式のことがあったから、僕は絶対に嫌だって言ったんだ。
でも、ケイタはいいから行こうぜって言って、僕を金網に上らせようとした。
だから、僕はケイタに「先に行ってよ」と言った。
そしたら、ケイタはわかったって言って、金網を登って、向こう側に行ってしまった。
そしてケイタは僕にも早く来いって言うんだ。
それで僕は思わず、金網を押した。
ケイタを押すつもりはなかった。
でも、ケイタはビックリしたみたいで、足を滑らせて、落ちたんだ。
屋上から。
僕はその場から逃げた。
ケイタは事故で死んだってことになった。
僕が押したことは誰も見てなかったし、その場から逃げたからケイタがいたずらで勝手に落ちたって思われたんだ。
それからしばらくして、また、お葬式の看板に僕の名前が書いてあるのを見つけた。
怖かったけど、僕はお葬式の部屋に入ったら、やっぱり、また僕のお葬式をやってた。
今度は「車にひかれた」ってヒソヒソ話が聞こえた。
その日の学校の帰り道。
車にひかれないように、僕はちゃんと赤信号で待ってた。
その僕の前には、1年生の子が立ってた。
僕は何となく、その子を後ろから押した。
そしたらその子は前に倒れ込んで、そこに車が突っ込んできた。
その子はその車にひかれて死んでしまった。
そんなことがもう2回くらいあった。
僕のお葬式で、僕がどうやって死ぬかヒソヒソ話が聞こえる。
僕はそうならないように、誰かを僕の代わりにした。
そうすれば、僕は死ななくて済むから。
だから、僕は、僕のお葬式が怖くなくなった。
だって、誰かを代わりにすれば、僕は死ななくて済むから。
あるとき、学校に向かってたら、友達のトモヤがお葬式の建物から出てきた。
なんか、ガタガタ震えてた。
どうしたのって聞いたんだけど、トモヤは何でもないって言って何も教えてくれなかった。
その日のトモヤはなんか変だった。
給食もあんまり食べなかったし、授業中もずっと震えてた。
僕はトモヤを元気付けようと思って、一緒に帰ろうって誘った。
そしてトモヤと一緒に帰っていると、トモヤはこう言った。
「ちょっと川に寄って行こう」
トモヤが川になんて誘うなんて珍しいって思った。
でも、元気がないトモヤを励ましたくて、僕はいいよって言った。
それで、トモヤと一緒に川に遊びに行った。

