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【洒落怖】いつも見ている飛び降り自殺の風景

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最近、無気力でヤバい。
なにをやっても楽しくない。
というより、なにもやる気にならない。

会社に行って、仕事して、帰って寝る。
休みの日は疲れて、一日寝て過ごす。
この繰り返し。

正直、何のために生きているのかわからなくなる。
なんて考えるのも面倒くさくなってきた。

これは仕事が忙しいせいだ。
でも、もし、仕事が暇になったとしたら、仕事さえもやる気がおきなくなる気がする。
そう考えると、唯一、私の生活の中で仕事だけが無気力にならないのかもしれない。

仕事に殺され、仕事に活かされている。
そんな矛盾した生活。
それがあと何年、いや何十年続くかと考えるだけでゾッとする。
ただ、生きているだけの人生に何の意味があるのかとも思う。
だからといって変える気力もない。

今日も席に座れず、いつもの場所に立って、窓から外を眺めながら帰る。
別にそれが楽しいわけじゃない。
周りの人たちはみんなスマホを操作しているけど、そんな気にはなれないだけだ。
ゲームもSNSも面倒くさい。
みんな、よくそんなにも夢中になれるものだ。
少しだけうらやましい。

そんなふうにぼんやりと考えながら、いつもと同じ景色を眺めながら、最寄り駅に着くのを待つ。
ただ、待つというのもやたらと長く感じる。
仕事の時なんて、あっという間に時間が過ぎるのに。

そんなことを考えていたときだった。

「痛っ!」

急に左手首に激痛が走った。

なんだろうと見てみる。

「……なにこれ」

左手首に、真一文字に傷の痕が付いている。
まるでリストカットしたかのような痕だ。

不思議だったのは今、切ったわけではなく、傷は完全に塞がっていて、古傷のようになっていることだ。
当然、こんな怪我をした覚えはないし、切った覚えもない。
それに古傷になるまでずっと気付かないなんて、あるんだろうかと思う。

なんて考えることも面倒になり、私は再び外を眺め始める。

すると、またも信じられないような光景が目に入ってきた。

遠くのマンションの屋上から人が飛び降りたのが見えたのだ。

それを見た瞬間、私は息を飲んで、声を上げることさえもできなかった。
まさに決定的な瞬間を見た。

かなり遠くだったので、飛び降りた人は小指くらいの大きさに見えたが、はっきりと見えた。
突然、非現実的な光景を見てしまったことで、私の心臓はバクバクと音を立てている。
汗も噴出し、吐き気すら覚える。

今も電車は走り続けているので、落ちた人にかけよることもできない。
警察に電話くらいならできるかもしれないが、もしかすると見間違いという可能性もある。
それに、きっと、同じマンションの住人が通報するだろう。

なんとか気持ちが落ち着いたころ、最寄り駅についた。
私は帰って、いつものように晩御飯を食べ、シャワーを浴びて寝る。

いつもと少し違ったのは、寝る前に、あの飛び降りした瞬間の光景がフラッシュバックしたことだ。
そして、不謹慎ながらもこう思った。

この虚無な世界から脱出できたと思うと、少しだけ羨ましい、と。

次の日。
私はいつも通り、席に座れずいつも通り窓際に立って、外を眺めながら帰る。

そして、あのマンションが近くなってきた。

昨日はあそこで飛び降りがあったんだよね。
ニュースとかになったのかな。

そんなことを考えながら、あのマンションの方を見た。

「え?」

私は思わず声を上げてしまった。

というのも、またも屋上から誰かが飛び降りたのだ。

こんなことがあるんだろうか。
二日連続で、同じマンションで飛び降り自殺があるなんて。

もしかしたら、昨日の人が死にきれず、また同じように飛び降りたのかもしれない。
私はそう納得することにした。

昨日ほどじゃないが、心臓の鼓動が高鳴っている。
なんだか、すごく嫌な気分になった。

そしてその次の日。
またも同じマンションで飛び降りするのが見えた。
次の日も、その次の日も。

そこで私は気付いた。

きっとあれは幽霊なんだ。

よく怪談とかで、幽霊がずっと生前と同じ行動をするって話がある。
たぶん、そういうことなんだろう。

そう思うと、なんだか見え方も違ってくる。

毎日、帰りの電車ではその飛び降りを見るのが日課になった。
毎回、同じようにマンションから飛び降りるという光景。

今日も飛び降りた。

いつしか、私はそんなふうに、飛び降りを見るのが、帰りの楽しみになっていった。

見逃さないように、ワクワクしながら、マンションが見えるのを待つ。
そして、飛び降りるのを見て、「今日も飛び降りた」と満足して、家に帰る。

私にとって、それは刺激のない毎日の、ささやかな刺激になっていたのだ。

そして、今日も、見逃さないように窓に張り付くようにして外を見る。

そろそろだ。

あのマンションが近づいてくる。
私は期待して、そのマンションを凝視した。

「え? なんで?」

今日は飛び降りなかった。

私は焦った。
なぜ、突然、飛び降りなくなったのか。

もしかすると、何かのきっかけで、成仏したのかもしれない。
そう考えると物凄くショックだった。

なぜなら、私の唯一の楽しみがなくなってしまったのだから。

私は大きく、ため息を吐いた。

そのときだった。

「あなたは続けてね」

真後ろでそんな声が聞こえた。
振り返っても誰もいない。

なんだろう?

そう思ったとき、左手首に激痛が走った。

見てみると、左手首に無数の切り傷が付いている。
それはまるで、何回もリストカットした痕のように見えた。

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