サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

自動ドア

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本編

俺は一念発起で、脱サラしてコンビニの店長を始めた。

そのとき世間は景気が回復してきたのと、コンビニが流行っていたというのがあって、十分儲けられると思った。
オーナーとして、バイトを雇って、自分は悠々自適な生活ができる。
なにより、一国一城の主として、自分のお店が持てるというのが、なによりの魅力だった。

そのときはそう思い込んでいた。

けど、実際は真逆だった。

バイトを雇うのは人件費がかかるし、こっちの思ったようにシフトに入ってくれない。
仕事も必要最低限どころか、こっちが指示しないと何もしてくれない。
なにより、今ではバイトテロなんて問題もあるから、まったく目を離せない。

時間も24時間開けてないとならないし、商品だって、本部が決めたものを無茶な数で仕入れさせられたりする。
自分の店で、自由にやれるというのは幻想で、逆に責任だけが伸し掛かるだけだ。

さらに今は、深夜のアルバイトを募集しているのに、誰も来ない。
昔なんかは大学生が、楽で時給がいいという感覚で人気だったはずだが、今は低賃金で辛いだけというイメージらしい。

そうなると、当然、店長の自分が入るしかない。

あまり客が来ないのに、店を開けておかないとならないという理不尽を感じながら、今日も深夜の仕事をこなす。

さらに今、頭を悩ませているのは、いつも深夜に来る30代の男だ。

一人でフラッとやってきては、何も買わないでずっと店の中をウロウロするだけ。
覇気もなく、顔色が悪く、なにやら独り言ばかり言っている。

どうせ、ニートか何かだろう。

だから、基本的には放置しているのだが、正直、万引きを狙っているのではないかと睨んでいる。
商品の前に立っては、こちらをチラチラと見ている。

こっちが見てなかったら万引きするつもりなんだろう。

それでなくても深夜の売り上げはほとんどないのに、万引きなんてされたら逆にマイナスになる。
なので、俺はそいつから一切、目を離さない。

そして、朝になって、客が来るようになるといつの間にかいなくなるのだ。

もちろん、今日も、その男は深夜に店に入って来る。
影が薄いせいか、いつの間に入ってきたのかわからないから、この時間はバックヤードには行かず、店内にいるようにしているのだ。

気付くと、雑誌コーナーの前に立っている。

一応、「いらっしゃいませ」と皮肉を込めて言う。

一度も買い物したことのない、この男を客と呼んでいいのかはわからないし、愛想よくする必要もない。
だが、本部に告げ口でもされると面倒くさいから、普通の客扱いをしている。

今日も、万引きしないかを見張る時間が過ぎる。

不毛な時間だが、最近はいい時間潰しなのではないかとさえ思ってきた。

そんなときだった。
いきなり、店内が真っ暗になり、店内放送もピタリと止まる。

停電だ。

やばい! アイスが溶ける!

そんな心配の中、数分で電気が付く。

このくらいの時間なら大丈夫だろうと、ホッと胸を撫でおろす。
他に店内に異常がないかを見渡す。

すると、さっきまでいた、あの男が店内からいなくなっている。

まさか、闇にまぎれて万引きされたのではないかと思い、急いで在庫を調べる。
だが、幸いなことに、減っている商品はなかった。

良かったと思っていたら、ドアをコンコンと、外からノックされる。
見てみると、そこには20代前半の若い男が立っていた。

どうやら、自動ドアが開かないようだ。

さっきの停電で、何か不具合が起こったのかもしれない。

俺は手動でドアを開け、若い男を店内に招いた。

その男はお菓子と弁当と、ジュースを買って出て行った。

自動ドアは未だにちゃんと動作しないで、開きっぱなしになっている。

エアコン代が勿体ないし、朝になったら業者に電話して直してもらわないとならない。

はあ。本当についてない。

やっぱり、コンビニのオーナーなんてやるんじゃなかった。

終わり。

■解説

停電すると、自動ドアは動かなくなる。
そして、その後、若い男がやってきたときにはドアは閉まっていた。
では、いつもやってくる30代の男は、どうやって外に出たのだろうか。
さらに、語り部は、いつの間にか男は店の中にいると言っている。
だが、自動ドアが開けば、音が鳴るはずである。
つまり、男は自動ドアを使って店に入ってきていないのではない可能性がある。
一体、男は何者なのだろうか。

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