本編
最近、下の子が文字を覚えた。
それはいいことだけど、どこにでも落書きをするのには頭を抱えている。
クレヨンで、床とかテーブルに書くのはまだいい。
拭けば落とせるから。
でも、壁とか家具とかに書かれると、落とすのが大変だし、完全に綺麗にならないこともある。
かといって、クレヨンを取り上げると、泣き続けるのでできない。
ノートとかを買ってあげて、それに書くように教えているんだけど、少し減るだけで落書きが無くなるわけじゃない。
賃貸じゃないから致命的じゃないけど、正直、家の中がどんどん汚くなっていくのはつらい。
妻はそれも味だと言って気にしてないけど、俺は正直、気に入らない。
だから、休日は家の掃除をやっている。
掃除自体は好きだから、それはいいんだけど。
今日は午前中で家の中の掃除が終わったから、久しぶりに倉庫の整理をする。
鍵を開けて、倉庫の中に入る。
4年ぶりに入った倉庫は、やっぱり埃っぽい。
倉庫の中を掃除していると、懐かしいものが出てきた。
上の子が生まれたときに買った、ベビーカーだ。
これに上の子を乗せて、妻と一緒に色々と出かけたことを思い出す。
本当に懐かしい。
そう考えれば、下の子とはあんまり出かけたりしてない。
こうやって休みも掃除とか、自分だけで出かけてばかりだ。
いつからこんなふうになったんだろう。
そんなふうに思っていたら、壁に落書きを見つける。
『おねえちゃんだいすき』
下の子の落書きだ。
こんなところにも書いてたのかと思うよりも、寂しい想いをさせてたのかと思った。
俺は掃除をやめて、久しぶりに家族と出かけることにした。
終わり。
■解説
語り部は、倉庫に入るのは『4年ぶり』と言っている。
さらに鍵がかかっていて、それは語り部が持っている。
では、どうやって下の子はこの倉庫に入ったのか。
さらに、4年前なら、下の子はまだ文字が書けないはずである。
その落書きは一体、誰が書いたものなのだろうか。

