サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

静かな隣人

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:合鍵の持ち主〉

本編

私は近隣トラブルで引っ越すことになった。
それはちょっとした騒音がきっかけのいざこざだ。

全面的に相手が悪かったのだけど、あれ以上争うのは面倒だから、引っ越すことにした。

とはいえ、引っ越しもかなり面倒だった。
だから、次は平穏に暮らしたい。
あと10年は引っ越ししたくない。
お金もかかるし。

だけど、近隣は完全にガチャだ。
自分がどんなに気を付けていても、変な人が隣に引っ越してくれば意味がない。

なので、ここを選ぶときには結構、慎重になった。
部屋を決める前に、管理人に、住人について色々と聞いてみた。

「そういうことなら、205号室がいいと思うよ」

どうしてかと聞いてみると、予想外の返答がくる。

「204号室は静かだよ。いつもね」

そんなことを自信満々に言っていた。
どういうことかわからなかったが、管理人がそういうならと、205号室に決めたのだ。

管理人のいうことに半信半疑で引っ越してみた。
確かに、204号室は静かだった。

ただ、それもそのはずで、204号室は空室だったのだ。
つまり誰もいない。
静かなわけだと納得したのも束の間だった。

204号室は『事故物件』だということを知った。

正直、騙された気分になった。
確かに、自分が住む部屋じゃないので、告知義務はないのだろう。
でも、隣が事故物件というのは、それはそれでちょっと不気味に思ってしまう。

それでも、それだけで引っ越すというのも馬鹿らしい。
まだ何か起きたわけでもないし。

不安に思いながらも、平穏な日々を送っていた。

そんなある日のことだった。

204号室に誰かが入居した。
挨拶はなかったので、はっきりはわからないが、どうやら若い男みたいだ。

私は嫌な予感がしていたが、やはりそれは的中した。

とにかくうるさい。

夜も昼も関係なく、騒音をまき散らしている。
隣の私はかなりきつい。

私はダメ元で、管理人に相談してみた。
すると、管理人はこう言った。

「大丈夫。204号室はいつも静かになるから」

よくわからなかった。
だが、数日後、管理人の言うことはピタリと当たった。

隣から騒音が聞こえなくなったのだ。

これでまた、私の平穏は保たれた。

そう思って安心していたら、その1ヶ月後に若い女性があいさつに来た。

「204号室に引っ越してきました。これからよろしくお願いします」

大人しそうな人だった。

きっとこれなら大丈夫だろう。

そして私は204号室が事故物件にならないことを祈った。

終わり。

■解説

若い男が静かになったのは、「いなくなった」からである。
そして、語り部は最後に「204号室が事故物件にならないこと」を祈っている。
つまり、若い男がいなくなった理由は、死んだからである。
もしかすると、管理人はうるさい住人を処分しているのかもしれない。

モバイルバージョンを終了