本編
SNSは普及して、世の中はかなり便利になったと思う。
すぐに連絡ができるし、メッセージを送っておいて、相手がそのメッセージを見たかどうかもわかる。
だけど、便利になったからこそ、逆に気になって縛られてしまう。
私は連絡を貰ったら5分以内に絶対に返す。
そして、それを相手にもつい求めてしまうのだ。
やめようと思っても、どうしても抑えきれない。
メッセージを送ったら、すぐに返して欲しい。
彼氏なら尚更だ。
メッセージを送ったら、せめて15分以内に返して欲しい。
だって、何しているか気になるから。
信じてないわけじゃないけど、浮気してるんじゃないかって思ってしまう。
もし、浮気してなかったとしても何かあったんじゃないかって心配しちゃうし、愛情が薄くなったから返事がないんじゃないかって疑ってしまう。
好きならすぐに返すよね?
それに今までだって、ちゃんと、私がメッセージを送ったら、10分以内に返してくれている。
そうしてくれると、愛されてるんだって思って、凄く嬉しい。
もちろん、メッセージを送るときは相手のことをちゃんと考えている。
寝てる時間とか、バイトの時間、お風呂の時間、講義の時間とかは絶対に送らない。
ちゃんと起きていて、メッセージを返せる時間にしか送らないのだ。
偉いでしょ?
でも、それなのに、おかしい。
今日は全然、返事がない。
メッセージを送ってから、もう1時間も経ってるのに返事が来ない。
この時間なら絶対に起きてるはずだ。
その証拠に、ちゃんと既読になっている。
どうして?
やっぱり浮気をしているんだろうか?
もしかしたら、先週の夜に、急に電話したのを怒ってるのかも。
いや、それよりもお昼はラーメンじゃなくてパスタがいいってわがままを言ったから?
それとも昨日の髪型が気に入らなかったとか?
考え始めるとドンドン不安になって来る。
どうして、返事をくれないんだろう?
1時間以上、ずっと携帯を見てるのに、一向に返事が来ない。
電話してみようかな?
でも、それが重いって思われるかも。
そんな考えがグルグルと頭をめぐる。
こんなことならメッセージなんておくらなければよかった。
どうして返事をくれないんだろう?
それを確かめるのも怖い。
そんなことを考えていた時だった。
急にチャイムが鳴る。
出てみると、そこには彼氏が立っていた。
「オレ、昨日、携帯忘れてっただろ?」
「え?」
振り返ってテーブルの上を見ると、確かにスマホが置いてあった。
そっか。携帯を忘れてたんだ。
それなら返事なんて遅れるわけないよね。
あー、よかった。
終わり。
■解説
最初、語り部は彼氏にメッセージを送った時、『既読』がついたと言っている。
携帯を語り部の家に忘れているなら、メッセージ自体、開けないはずである。
既読がついたのは、一体、誰が見たのだろうか?

