実は今、悩みがあるんだ。
あまり周りには言えないし、正直、どうしていいか、自分でもわからない。
同じような悩みを持ってる人はいないと思うけど、念のため書いておく。
なんかアドバイスがあれば、お願いします。
私は昔、夜の仕事をして生活していたときがあった。
大体、23から28くらいの5年くらいかな。
その頃は、仕事自体は嫌いじゃなかったし、稼げたし、このまま続けていくというのもいいかなって考えていたんだよね。
でも、ある時、先輩がアパレル系のお店を出すって話をしてて、「よかったら家で働かない?」と誘われた。
割と仲良くしてた先輩だったけど、正直、すごく悩んだ。
まずは給料が凄く安くなるというのが一番だった。
まあ、いきなりお店を出すっていうんだから、そりゃそうだよね。
そもそも成功するかどうかもわからないのに、店員にそんなに給料を出せるわけがない。
その割に今よりも働く時間が長い。
この条件は、先輩からじゃなかったら速攻で断ってたと思う。
でも、逆にいざとなったときに詰むというのもあった。
今の仕事は給料は多いけど、別に正社員というわけじゃないし、何かあった時は一気に給料が減る。
というか、ないともあった。
コロナのときは本当にヤバかったね。
少し貯金があったから、何とかなったけど、全部お金使ってたらマジで詰んでた。
それにコロナが治まった今でも、給料が戻ったかというとそんなことない。
体感的には7割とか、そんな感じかな。
それでも、割と高いんだけどね。
それと、コロナの時、仕事場の子が他の仕事をしようと思ったけど、全然決まらなかったって聞いた。
それでなくても人を減らそうとしているときだったし、それは仕方ないと思う。
でもさ、それで思ったんだよね。
今のお店がなくなったら、どうするのかって。
同じような店に行けばいいし、受かる自信はある。
でもさ、年齢的にキツくなったら、どうするのって話。
そっから、違う仕事ができるのかって言ったら、難しいんじゃないかって思ったわけ。
それでも悩みに悩んで、結局は先輩の話に乗ることにした。
正直、物凄い不安だったけどね。
だって、先輩の店の方が、今のお店よりも安定してない上に給料も低いわけだからさ。
なんかあったらマジで詰むと思う。
でも、結論を言えば、それは全然心配なかった。
意外と先輩の店は流行ったんだよね。
あ、意外なんて言ったら怒られちゃうかな。
でもね、私は正社員にしてもらったし、前の仕事ほどじゃないにしても、そこそこの給料は貰っている。
ホント、5年前に先輩の話に乗ってよかったと思う。
……って、ちょっと話が逸れたっていうか、前置きが長くなっちゃった。
話を戻すね。
今から大体3ヶ月前くらいかな。
その日はなんてこともない、普通の平日。
あ、平日って言っても、私にとっては休日ね。
この業界、土日祝日には休めないからさ。
昼間はいつもの買い出しをして、夜にはご飯作って食べて、晩酌をしながら明日のあの件はどうしようとか、出張の日程とか考えてたんだよね。
それで妙に疲れてたから、早めに寝ることにした。
22時とか、そのくらい。
いつもは大体1時くらいかな。
寝るのは。
で、寝てたらね。
いきなりインターフォンがなったんだよね。
その音で目が覚めた。
そのときは寝ぼけてて、「配送か何かかな」なんて思いながら起きて、玄関に向かったの。
でもさ、そのときに気付いたんだよね。
そんなわけないって。
だって、それは3時だったから。
深夜の。
一気に血の気が引いた。
すごく怖くって、玄関の前で震えてた。
そしたら、もう一回インターフォンが鳴った。
私は震えながら、ドアについてる覗き穴から外を見たの。
思わず悲鳴を上げちゃった。
そりゃそうだよ。
誰だって悲鳴を上げると思う。
だってね。
外に立ってたのは私だったんだ。
今じゃ着ないような派手な服を着た、私だった。
どうしていいかわからなくて、しゃがみ込んで震えてた。
そしたら、ドアノブがガチャガチャと動いたんだ。
でも鍵がかかってるから、ドアは開かない。
3分くらいガチャガチャしたかと思ったら、ぴたりと止まった。
「なんでだよ!」
いきなり叫ばれた。
で、気付いたら朝になってた。
たぶん、気絶したんだと思う。
私はまだ凄い怖かったけど、無理やり夢だったって思いこむことにした。
それから数日は何も起こらなかった。
でも、次の休みの日。
また3時くらいにインターフォンが鳴った。
覗いてみると、やっぱり私が立ってた。
「ふざけんな! てめえばっかり!」
インターフォンが鳴って、今度はドアを蹴られ始めた。
凄く怖くなって、とにかく警察に電話した。
不審者がドアの前にいるって言って。
それからすぐに警察は来てくれたんだけど、その頃にはドアの前は誰もいなくなっていた。
私は怖くなって、すぐに引っ越すことにした。
先輩に無理を言って2日のお休みを貰って。
場所は即日に入れる適当なところを選んだ。
とにかく、あの場所から離れたかったから。
でも、引っ越しが終わったその日の深夜3時に、またインターフォンが鳴った。
それはやっぱり私で、今度は怒ってるっていうより、ゲラゲラと笑ってた。
「いや、引っ越したってわかるから」
ドア越しに聞こえたその言葉にゾッとした。
だって、それって引っ越しても無駄ってことだから。
次の日、私は警察に相談しに行った。
不審者が夜にチャイムを鳴らすって言って。
最初は「どうせ、前の彼氏か何かでしょ?」なんて言って門前払いされそうなった。
だけど、最近、ストーカー殺人があったってニュースが流れたおかげか、深夜に見回りしてくれるって話になった。
これで大丈夫って思った。
あの私がなんなのかわからないけど、誰かが見ていれば来ないだろうって。
でもね、その期待はあっさりと裏切られた。
深夜の3時に、インターフォンが鳴った。
当たり前のように、ドアの前に立ってるのは私だった。
私は急いで警察に電話した。
そしたらこう言われた。
「今、家の前にいますけど、誰もいませんよ」
私はそんなわけないって言ったら、警察官の人は呆れた声で、「じゃあ、これから家の前に行きますから」と言った。
警察官が言った通り、1分もしないうちに家のドアの前に立ち、インターフォンを押した。
その隣にはニヤニヤと笑った私が立っている。
警察官が「開けてください」と言ってきたので、私は慌てて「すみません。勘違いでした!」と言ってそのまま帰ってもらった。
だって、ドアを開けるのはマズいと思ったから。
その間、ドアの前の私はずっと笑ってた。
その後、警察の人に聞いたんだけど、見回りもしてくれていたし、近所にも聞き込みをしてくれていたらしい。
そしたら誰も「深夜に騒ぎなんて聞いてない」と言われた。
そして、最後に「悪戯は感心できませんね」なんて嫌味を言われて追い返された。
これでもう警察を頼ることもできない。
引っ越しても無駄。
だから私は最後の手段として、休みをとらないことにした。
だって、私が来るのは休みの日だけだから。
案の定、仕事の日は、私は来ない。
でも1ヶ月以上休みを取らなかったら、さすがに先輩に怒られた。
行政指導が入るからやめてくれって。
だから、明日は強制的に休みを取らされることになった。
たぶん、明日、私が来ると思う。
私はどうしたらいい?

