本編
最近は物価高で、会社の給料だけじゃキツくなってきた。
会社は一応、副業は禁止されてないから、宅配のバイトをやることにした。
このバイトのいいところは自分のタイミングで働けることだ。
ちょっとした隙間時間にできるのがいいんだよね。
だから休みの日は1日頑張って稼いだりしてた。
それが結構稼げて、ちょっとしたボーナスって感じだった。
けど、最近は宅配も下火になってきたせいか、単価が安くなって、昔ほどは稼げなくなったんだけど。
それでも背に腹は代えられないから、休みの日はそれなりに宅配をやっている。
その日も、宅配をするために待機していたら、依頼が来た。
さっそく、お店に料理を取りに行って、依頼人の家へと急ぐ。
お店から自転車で30分。
若干遠いけど、仕方ない。
今は選り好みできる立場じゃない。
少しだけ雨が降り始めて焦ったけど、なんとか本降りになる前に依頼人の家に到着することができた。
依頼人は置き配希望だから、玄関の横に置いて帰った。
雨に降られて家に帰る頃にはびしょ濡れになってしまったけど、さっきの依頼人からの評価で最高点を付けてもらえたのが嬉しかった。
シャワーを浴びて、服を着替えた後、今日はもう宅配のバイトはやめようかと迷っていたときに、ちょうど依頼が入ってきた。
場所を見てから決めようと思って、見てみたら、なんと依頼人はさっきの人だった。
さっきは評価を付けてもらったこともあったから、宅配を受けることにした。
カッパを羽織ってお店へと急ぐ。
料理を受け取って、依頼人の家へと向かう。
さっき行ったばかりだから、最初よりも早い時間で到着することができた。
今回も置き配希望だったから、ドアの前に置こうとした。
けど、そのとき、ちょっとおかしいと思った。
なぜなら、前回持って行った置き配が残っていたからだ。
前回頼んだものを受け取る前にまた頼んだんだろうか?
とはいっても、こっちが気にするところでもない。
そのまま隣に今回の料理を置いて帰ることにする。
前回頼んだ料理は雨に濡れてぐちゃぐちゃになっていたのを見て、なんかすごく嫌な気分になった。
家に帰って、着替えてから疲れたので少し寝ることにした。
起きてからもさっきの置き配のことが、何となく気になっていた。
数日後。
あるニュースを見て驚いた。
なんと、あの置き配をした家の人が強盗に殺されたというものだ。
ニュースでは、事件が起きたのは最初に依頼があったくらいの時間とのことだった。
どおりで最初に置いた料理がそのままになっていたわけだ。
終わり。
■解説
事件があったのは語り部が最初の依頼を受けた時間だったと言っている。
その時間に依頼人は殺されて、死んでいる。
では、最初の『評価』をつけたのと、『2回目』の依頼は一体、誰がしたものだったのだろうか?

