サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

街頭インタビュー

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本編

「すみません。ちょっとインタビューをお願いできませんか?」
「いいですよ」
「さっき、このマンションで死体が発見されたのはご存じですか?」
「え? そうなんですか!? 知らなかったです。……うわー。怖いな」
「もしかして、このマンションに住んでる方ですか?」
「そうです」
「警察は自殺と他殺の両方で調べているらしいんですが、どっちだと思います?」
「あの……どういう形で亡くなってたんですか? それがわからないとなんとも……」
「あ、そうですよね。えっと、首に切り傷があって、近くに包丁が落ちてたらしいですよ」
「なるほど。それなら自殺も他殺も考えられますね。僕は素人ですし、どちらか当てるなんで不謹慎なのでやめておきます」
「被害者の方って、なにか恨まれるようなことがあったとか、狙われている、とかそんな噂とか聞いたことないですか?」
「あの……誰が亡くなったか、聞いてないんですけど」
「ああ、すみません。そうですよね。〇〇さんって方です」
「……〇〇さん。ああ、3階のあの人ですか」
「お知合いですか?」
「朝にエレベーターで顔を合わせるくらいですよ」
「ちなみになのですが、あなたは何階に住まわれてるんですか?」
「……なんでそんなこと答えないといけないんですか?」
「すみません。そうですよね。失礼しました」
「もういいですか?」
「あ、最後にもう一つだけ。昨日のお昼は何をされてましたか?」
「被害者の方って、昨日亡くなったんですか?」
「警察の調べではそうみたいです」
「……もしかして、これってあれですか? 犯人が捕まる前に街頭インタビューをしてた、みたいな映像を撮りたいとかですか?」
「やっぱりわかります?」
「わかりますよ。露骨な質問ばかりですから。ちょっと失礼じゃないですか?」
「申し訳ありません」
「犯人しか知らないような情報を聞き出そうとしてましたよね。僕が犯人だって決めつけて」
「本当に申し訳ありません」
「どこのテレビ局ですか?」
「いや、本当にすみませんでした」
「こういうやり方は止めた方がいいですよ」
「そうですね」
「残念ですけど、昨日は14時までコンビニのバイトをしてました」
「そうだったんですか。本当に失礼しました」
「もういいですか?」
「はい。ありがとうございました」

この後、レポーターはすぐに警察に連絡した。

終わり。

■解説

レポーターは『昨日の昼』としか言っていない。
それなのに相手は『14時』と言っている。
事件があったことも知らないはずなのに、2時より前に事件があったことを知っているはずがない。
つまりインタビューを受けた人間が犯人の可能性が高い。

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