本編
深夜の1時過ぎ。
最近は仕事の時はいつも、このくらいの時間になる。
終電ギリギリで、慌てて電車に飛び乗ることも多い。
早く転職したいと思うが、そんな時間もないし、今の仕事は潰しが利かないし厳しいだろう。
結局はそう思いながらも、ズルズルと今の仕事を続けている。
そんなことを考えながら玄関のドアの前に立つ。
疲労がハンパない。
飯もシャワーも、着替えさえも面倒くさい。
本当なら、もうベッドに倒れ込んで眠りたい気分だ。
だが、そういうわけにもいかない。
俺は玄関のドアノブに手をかける。
するとドアに鍵がかかっていないことに気付く。
もしかして、朝、鍵をかけないで出て行ってしまったんだろうか。
そう思って、ゆっくりとドアを開ける。
だが、玄関には靴があった。
はあ、なんだよ。
今日はとことんツイてないな。
俺はドアを閉めて、その場を後にした。
終わり。
■解説
語り部は泥棒。
つまり、語り部は下調べでは、夜にこの部屋の住人はいないはずだった。
しかし、部屋の住人が帰宅していることを知り、泥棒に入ることを諦めて帰ったというわけである。