本編
僕には3歳年上の姉がいた。
両親も、僕が小さい頃に事故で亡くなっているから、僕にとって姉が唯一の肉親だった。
それもあって、姉は僕の親代わりをしてくれていたんだと思う。
そして、僕も、そんな姉に甘えていた。
何かあってもすぐに姉を頼り、姉の言う通りにするのが当たり前だった。
そんな姉がいきなり行方不明になってしまった。
僕が就職した時は、本当に喜んでくれて、お祝いしてくれた。
それが本当に嬉しくて、僕はこれから、姉に恩返しをしていこうと決意していた。
そんな中、姉が失踪したのだ。
姉が僕に黙って、どこかに行くなんて考えられない。
何かがあったに違いない。
もちろん、僕は姉の行方を追った。
友人も頼ったし、探偵も雇って調べた。
それなのに一向に情報が入ってこない。
それでも諦めきれずに、僕は姉を探し続けた。
そして、それから数年が経った。
ある日、僕は姉が多額の生命保険に入っていることを知った。
自分に何かあったときのために、入ったのかもしれない。
姉なら、やりかねない。
僕はお金よりも、姉に帰って来て欲しい。
姉に恩返しがしたい。
そう思っていたが、弁護士の友人に、せっかく残してくれたお金を受け取らないのは、かえって姉のことを裏切ることになると説得された。
失踪して7年が経てば、失踪宣告が認められて法律上で「死亡」とみなされるため、生命保険金を受け取ることができるらしいのだ。
僕は保険会社に行き、姉を担当していたという人に話を聞きに行った。
するとその人にまだ失踪してから6年しか経っていないので、失踪宣告は認められないはずだと言われた。
帰って調べてみると、確かに姉が失踪してから6年だった。
残り1年。
僕は失踪宣告が認められるまでに、なんとか姉を探し出そうと決意した。
終わり。
■解説
担当者は、語り部が失踪時期を伝えていないにもかかわらず、「失踪してから6年」と断言している。
保険会社が知っているのは契約内容であり、失踪時期ではない。
つまり、担当者は姉の失踪について何かを知っている可能性がある。

