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いつも仕事が終わって、家に帰るのは大体22時くらい。
遅いといえば遅いだろうけど、このくらいの時間になる人が多いんじゃないだろうか。
大学時代の友達もみんな、そのくらいって言ってるし、中にはいつも日付が変わるギリギリという子だっている。
それに帰りの電車も、結構ぎゅぎゅう詰めだし、私が降りる最寄り駅でもたくさん人が降りる。
なにが言いたいかというと、このくらいの時間に帰るのは普通で、なにも私だけじゃないってことだ。
私は、帰る前にちょっとした夜ご飯をコンビニで買って帰ることが多い。
ガッツリ食べるわけじゃないから、ちょっとした総菜やデザート系が中心だ。
日によっては何も買わないで、そのまま家に帰るときもある。
その日はサンドイッチと野菜ジュースを買って、家に向かっていた。
途中、公園を通るのだけれど、この時間になると公園内はもちろん、周りにも誰もいない。
その公園を横切ると、5分くらい短縮される。
最初の頃は、怖いので公園内を横切るなんてことをしなかったけど、一回通ってしまうと慣れて、毎日通るようになった。
当然、その日も当たり前のように公園内に入って、横切ろうとした。
ちょうど、公園の中央くらいに来た時だった。
キイキイと音がした。
驚いて振り向くと、ブランコが揺れている。
一気に血の気が引いていくのが自分でもわかった。
なぜなら、公園には誰もいないのだから。
もちろん、ブランコには誰も乗っていない。
勝手にキイキイと鳴らしながら揺れている。
私はさっさと公園を出ようと思い、足を速めた。
その瞬間だった。
いきなり足を掴まれて、私はその場で転んでしまう。
足を掴まれたということもあったけど、いつの間にか砂場の中にいたということが、私をさらに混乱させていた。
公園の中央を歩いていたはずなのに、公園の端にある砂場にいる。
そして、足はいまだに掴まれていた。
小さい、子供の手なのに、ビックリするほど強い力で掴まれている。
本当に怖いと声すら上げられない。
人が通っていないとはいえ、少し離れたところには家だってある。
声さえ出せれば、誰か来てくれる可能性は高い。
でも、私はただ震えているだけで、声すら上げられず、ただ座ったまま身動きをとれなかった。
後ろからはバタバタと子供の走る音と、笑い声が聞こえてくる。
ブランコの音も、さっきよりも大きい。
怖くて何もできない私の肩が、ガシッと掴まれる。
「お姉ちゃんも遊ぼう」
後ろからはっきりと子供の声が聞こえた。
そして、気付くと目の前にも男の子が立っていた。
その子は、何かにぶつかったように左の顔半分が潰れている。
目が飛び出し、唇も切れて、だらりと垂れ下がっていた。
「ねえ、遊ぼうよ」
その子が笑いながらそう言った瞬間、今まで動けなかったのが嘘だったかのように、私は立ち上がって走った。
そのまま一目散に家まで走って逃げる。
家についたときは凄く心臓がバクバクしてて、吐き気もヤバかった。
その日は何もする気が起きなくて、すぐに着替えて布団の中に入った。
でも、恐怖で目が冴えて、結局寝たのは外が明るくなった頃だった。
次の日の朝。
出勤の時に、恐る恐る公園を見てみる。
すると、昨日、置いてきたコンビニの袋とバックが砂場の上に落ちてた。
私はカバンだけ回収して、会社へと向かう。
正直、その日は休めばよかったと思うほど、集中力がなくて全然仕事にならなかった。
その日から私は公園を横切るどころか、公園の近くを通らずに帰るようになった。
あんな思いをしたのだから当たり前だろうと思う。
けれど、それも半年も続かなかった。
今では普通に公園を横切って帰っている。
本当に怖いのは人間の『慣れ』なのかもしれない。

