本編
今日はゴールデンウィークの最後の日。
今年は長いはずだったのに、いざ、始まってみたらあっさりと終わってしまう。
やっぱり、夏休みくらい長くないと、お休みって感じがしない。
早く、夏休みにならないかな。
そんなことを思いながら、部屋でゴロゴロしてたらたっちゃんが遊びに来た。
珍しい。
たっちゃんとは学校では仲がいいけど、休みの日とかにはあまり遊ばない。
っていうより、僕はお休みの日は大体、家でゴロゴロしてるからほとんど、友達と遊ばないのだ。
「どうしたの?」
僕が聞くと、たっちゃんはニコリと笑った。
「最後だから、遊ぼうって思って」
たっちゃんも、ゴールデンウィークは何もしないで家でゴロゴロしてたんだろうか?
だからせめて最後の日くらい、友達と遊ぼうと思ったのかもしれない。
どうせ、明日、学校で会うのに。
そう思ったけど、別に断るほどじゃない。
家でゴロゴロするのは好きだけど、友達と遊ぶのだって嫌いなわけじゃない。
それに僕だってゴールデンウィークを何もしないで終わったというよりも、最後の日はたっちゃんと遊んだという方が、何となく思い出に残る気がする。
だから、僕は「何して遊ぶ?」とたっちゃんに聞いた。
そしたら「とりあえず神社に行こうよ」とたっちゃんが言った。
街外れにある、小さな神社。
よく幼稚園の頃に行って遊んでた場所だ。
小学校に入ってからは全然行ってなかった。
だから久しぶりに行きたいと思った。
僕はたっちゃんと一緒に神社に行った。
最初は虫とか捕まえたり、鬼ごっこをしたりして遊んだ。
「次、なにする?」
僕が聞いたら、たっちゃんはにっこりと笑った。
「かくれんぼがしたい」
かくれんぼか。
凄い懐かしい。
最近は全然、やってなかった。
僕が鬼になって、10秒数える。
そして、たっちゃんを探し始めた。
だけど、全然見つからない。
15分くらいずっと探してるのに。
神社の中には隠れる場所なんてほとんどない。
10秒で隠れたんだから、そんなに遠い場所にいるはずない。
それから10分くらい探したけど、たっちゃんが見つからない。
ギブアップしようかと思ったときだった。
神社の近くに蔵みたいなのがあるのを見つけた。
もしかしたら、ここにたっちゃんが隠れてるのかもしれない。
僕はかんぬきを外して、中に入った。
中は真っ暗で、何だか怖い。
扉を全開にしたら、光が入って、少しだけ中が明るくなった。
中は銅像とかがいっぱい置いてある。
顔が怖い銅像ばっかりで、嫌だったけど、僕は頑張って中に入った。
中はそんなに広くない。
だからさっと探して、すぐに出よう。
そう思っていると、奥の方に膝を抱えているたっちゃんを見つけた。
「たっちゃん、見つけた」
「見つかっちゃった」
たっちゃんがそう言って笑った。
次にたっちゃんが鬼で、僕が隠れる番だ。
でも、僕はすぐに見つかってしまった。
それからも夕方になるまでたっちゃんと遊んだ。
そろそろ帰らないと、お母さんに怒られる。
だから帰ることにした。
「じゃあ、たっちゃん、また明日ね」
僕が手を振ると、たっちゃんはまたにっこりと笑ってこう言った。。
「バイバイ」
終わり。
■解説
たっちゃんは『かんぬき』が掛かった蔵の中に隠れていた。
しかし、かんぬきは『中からは閉められない』はず。
たっちゃんはどうやって、蔵の中に入ったのだろうか。
そして、語り部の「また明日」という言葉に「バイバイ」としか答えていない。
もしかすると、「最後の日」というのは「ゴールデンウィークの最後の日」ではなく、たっちゃんの「最後の日」だったのかもしれない。

