本編
町の外れに『死霊の館』と呼ばれる洋館がある。
なんでも10年くらい前にそこで一家惨殺事件があったらしい。
その洋館は変わった造りで、家の真ん中に螺旋階段があって、それ以外の階段はない。
家族は2階で寝ていたところを、強盗が入って来て、階段を塞がれて降りれなくて全員殺されてしまったみたいだ。
そんな事件があったから、地元では当然、心霊スポットとして有名になっている。
ユーチューブとかでも、結構話題にあげられたりしていた。
ただ、冬になればオカルトの盛り上がりは下がって来る。
だから夏だと肝試しに来る人たちで賑わうけれど、冬になれば誰も来なくなる。
なので地元のオカルト好きは冬に行くことが多い。
誰もいないから、ゆっくりと探索できるからだ。
そういう私も冬を狙って来ることが多い。
オカルトが好きというよりは、この洋館の作りが何となく好みなのだ。
本当は昼に来て、ゆっくり見てみたいけど、昼だと人目について注意される。
だから夜に来るしかないのだ。
そしたら私の、オカルト好きの友達が一緒に行きたいと言い出した。
目的は違うけど、別に断る理由もないから連れて行くことにした。
深夜2時。
友達と2人で『死霊の館』に来る。
案の定、私たち以外には誰もいない。
さっそく2人で洋館に入った。
私はお気に入りのコースを行こうとすると、友達が先に螺旋階段に登りたいと言い出した。
私は何回も来ているし、友達に合わせることにする。
すると、今度は友達は一人で登りたいと言い出す。
怖がりのくせに、怖いのが好きって、なんか矛盾してる。
あえて止めることでもないし、私は階段の下で待つことにした。
ドンドンと登っていく友達。
そして二階の部屋に入って行った。
それから30分が経った。
夢中で写真でも撮ってるんだろうか。
楽しんでるのはわかるけど、待たされる方の身にもなって欲しい。
私が「そろそろ降りてきてよ」と何度か声をかけたけど返事がない。
仕方ないから私も登ることにした。
もしかしたら、上で何かあったかもしれないし。
そう思って、階段を登って2階に到着する。
どの部屋にいるんだろうと見渡していると、下から友達の声がした。
「ごめん。下にいる」
もう。それなら最初から言ってよ。
そう思って降りようと思ったけど、私はあることに気付いて階段を降りることができなくなった。
終わり。
■解説
『死霊の館』には家の中心に階段が『1つ』しかない。
つまり、友達が1階に降りるには語り部と『すれ違う必要』がある。
一体、下から聞こえた友達の声は誰の声なのだろうか。

