サイトアイコン 意味が分かると怖い話【解説付き】

真夜中のトイレ

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本編

うちの家族は、母さんだけズボラだ。
他のみんなは神経質なくらいなのに、なぜか母さんだけ普通の人よりもズボラな気がする。

よく妹と、自分たちは母さんの子供じゃないなんて冗談を言っていたくらいだ。
逆に親父なんかは、よく母さんと結婚したなって思う。

もしかしたら神経質すぎる親父には母さんくらいズボラなのが合っているのかもしれない。

そんな母さんに、今までは笑って済ませられてたんだけど、最近はちょっとムッとすることが多くなった。
少し前に親父の仕事の関係で引っ越したんだけど、その家に来てから、母さんのズボラが酷くなった。

というのも、いつもトイレの電気を消し忘れるようになった。
別にそれ以外のことは変わらないのに、トイレの電気だけは頻繁に消し忘れる。

何度も注意したがそこだけは治らない。

それは妹もストレスに感じているようで、いつもトイレの電気が付いているって怒っている。

昨日も、深夜に目が覚めてトイレに行くと、電気が付けっぱなしになってた。

なんていうか、小さいことだけど、電気代が勿体ないって思ってしまう。

そして次の日。

妹にこう言われた。

「お兄ちゃん。昨日もトイレの電気、付けっぱなしだったよ」

いや、それ母さんだよ。

終わり。

■解説

仮に語り部のいうように母親が電気を付けっぱなしで、妹の方が語り部よりも先にトイレに行っていたとしたなら、語り部がトイレに入る時には電気が消えているはずである。
なぜなら妹も神経質で電気を消し忘れる可能性はほぼないため。
そして、電気を気にしている語り部が消し忘れるということも考えづらいので、語り部の後に妹がトイレに行ったのだとしたら、やはり電気は消えているはずである。

さらに妹は「昨日も」と言っていることから、語り部の後でも電気がついていることは何度かあったということになる。
つまり、引っ越してきた家のトイレの電気は勝手についている可能性が高い。
そして、その原因が母親のせいではないことだけは確かである。

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