今日は気になる彼との家デート。
得意の料理で、彼の胃袋を掴んで見せる。
彼はお肉と赤ワインが好きだと言ってたから、頑張ってお肉料理った。
ちょっとお値段高めのワインもネットで購入済み。
これで彼が来るのを待つだけだ。
ドキドキしながら待っていたら、インターフォンが鳴る。
彼かと思って出たら宅配だった。
そうだった。
まだワインを受け取ってなかった。
危ない危ない。
彼がいるときに届かなくてよかった。
私もワインが好きで家でいつも飲んでるって言っちゃったから、慌てて買ったのがバレるところだった。
さっそく開けてみるとビックリ。
なんと来たのは白ワインだった。
間違えて白ワインを買っちゃったみたい。
買いに行こうと思っても、もう彼が来ちゃう。
どうしよう。
考えているうちに彼が家に来た。
少しお話をして、お食事タイムに。
私は最後の手段を取ることにした。
「この料理、凄く美味しいね」
「ホント? 嬉しい!」
「あれ? その指、どうしたの?」
「あ、これ? ちょっと料理してて切っちゃって」
「大丈夫?」
「うん。あなたに食べて貰えるからって張り切っちゃって」
「そっか。嬉しいけど、気を付けてね」
「うん。ありがとう」
「それにしても、ワイン美味しいね」
「そう? よかった」
「どこのメーカー? これ、家で飲んでるのと凄く味が似てる。ちょっと薄いけど」
「そうなんだ?」
「あれ? 顔色悪いけど、どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
私はこの後、すぐに彼に別れを告げた。
終わり。
■解説
語り部は白ワインに色を入れるために、自分の血を入れた。
そんなワインを彼は美味しいといい、いつも家で飲んでいるワインと似てると言っている。
語り部は彼が血の味が好きだと知り、別れを告げたのである。