本編
最近は地震が多い。
一応、家には備蓄とか防犯グッズは揃えている。
でも、そういう災害はいつ起こるかわからない。
家にいるときに起こるとは限らないのだ。
だから妻とは、もしどちらかが外にいたときに災害が起きて、家がつぶれてしまったときに待ち合わせ場所をする合流場所を決めておいた。
そんなあるときの休日。
妻が買い物に行っているときに災害が起こった。
物凄い揺れだった。
ヤバいと思って外に出ようと思ったが、家が潰れてしまった。
地震が収まり、決めておいた待ち合わせ場所に向かう。
妻はまだ来ていない。
数時間待ったが、妻は来ない。
1日が経ち、もう行こうと思ったときだった。
妻がやってきた。
「来ちゃったか」
「ごめんね」
「謝ることじゃないさ。じゃあ行こうか」
妻と手を繋ぎ、私たちは歩き出した。
終わり。
■解説
語り部は家が潰れた時に死んでしまっていた。
来ちゃったのかと言ったのは、妻もこっち側に来てしまったのか、という意味。
この後二人はあの世に向かったのかもしれない。