本編
その双子はいつも一緒だった。
周りから見ても少し異常なほどで、逆に一緒にいない方が珍しいくらいだ。
双子は仲がよく、学校のテストの点数や体育の成績さえも一緒で、教師やクラスメイトたちは双子は二人で口裏を合わせて、わざと同じにしていたんだろうと考えていた。
だが、二人は別に相談していたわけでもなく、合わせようとも思っていなかったが、同じになってしまう。
それは双子にとって嫌なことではなく、嬉しいとさえ思っている。
不思議なことに双子は相手が考えていることがわかり、さらには痛覚さえも共有していたようだ。
それもあり、双子にとって、お互いは自分の半身だと考えていた。
その関係は成人してからも変わらず、可能な限り一緒にいる。
そんなあるとき、兄が病気になってしまった。
医師から余命1年と宣告され、入院中もずっと苦しんでいた。
弟もそんな兄を毎日お見舞いし、ずっと励ましていた。
それから3ヶ月後。
弟は兄を看取り、警察に逮捕された。
終わり。
■解説
双子は痛覚も共有し、さらにお互いが考えていることもわかっていた。
つまり、兄は病が苦しく、生きることに希望を持てずにいたため、それを感じ取った弟が兄を殺害したのである。