本編
その女は男に夢中だった。
男にとって、その女は都合のいい女のポジションだったが、女にとってはそんなことはどうでもよかった。
どんなことでも、男のために尽くす。
それが女にとっての全てであり、当然のことだった。
男のためなら、どんな無茶な願いでも叶えるために全てを捧げている。
周りからどんなに説得されようと、女は全く聞き耳を持たない。
そんなあるときだった。
男が女の元にやってきて、悩みを打ち明けた。
男は会社で致命的なミスをおかしたらしく、そのせいで会社に大きな損害を出してしまったのだと言う。
そのせいで降格し、部下だった人間の下につくことになってしまった。
男は頭を抱えて女に言った。
生きているのも、本当に恥ずかしい。
消えてしまいたいくらいだ。
なんとか、挽回する方法はないだろうか。
それを一緒に考えてほしい。
女は男の言葉を聞き、頷いた。
そして、男の願いを叶えた。
終わり。
■解説
女が叶えたのは「消えてしまいたい」という願い。
つまり、女は男を殺すことで、存在を消してしまった。