本編
私は息子を愛している。
妻も亡くなり、息子が唯一の親族になった。
だからこそ、息子は私にとっての全てだ。
息子のためなら、どんなことだってできる。
だが、息子にはある問題がある。
それは一定期間で殺人衝動が起こることだ。
息子を犯罪者にすることは絶対にできない。
私は20年間、ずっと息子の殺人衝動を必死になだめてきた。
だが、そんな私も重い病にかかってしまった。
もう長くはないだろう。
私が死ぬ前に、息子の殺人衝動を叶えさせてやろう。
私は息子が殺人を犯すのを見届けた。
これで私は安心して死ねる。
もう息子が犯罪者になる心配はなくなったのだから。
終わり。
■解説
語り部は最後に、息子自身を殺させた。
つまり自殺させたということである。