本編
最近は忙しくて、帰りはいつも終電になる。
疲れ果てて、駅のベンチに座り込んで電車を待つ。
そろそろ来るから立ち上がると足元に何かが落ちていた。
USBだ。
見覚えがある。
まさかと思ってリュックを見ると、小物入れのポケットに穴が開いていた。
案の定、会社のUSBが入っていない。
顧客や会社の情報が容量いっぱいに入ったUSBは、絶対に紛失してはいけない。
危ない危ない。
慌てて拾い上げて電車に乗り込む。
次の日。
会社のパソコンにUSBを差し込んで業務を開始する。
すると上司から、新しい顧客の情報が大量に送られてきた。
また扱うデータが増えるのか。
俺はそのままUSBにデータを保存した。
終わり。
■解説
容量がいっぱいなはずなのに、新しいデータが保存できるのはおかしい。
つまり拾ったUSBは語り部のものではなかった。