本編
僕の家の近くに異世界に続くトンネルというのがある。
とても短いトンネルで、歩いて3分もかからない。
それで、夜の1時にそのトンネルを通ると異世界に行けるらしい。
あるとき、友達のこうちゃんが僕の家に泊まりに来た時に、異世界に行ってみようということになった。
家を抜け出して、トンネルのところまで行った。
そして、夜の1時にトンネルの中に入る。
中は蜘蛛の巣がいっぱいあって、不気味だった。
蜘蛛の巣を払いのけて進む。
僕は怖かったけど、こうちゃんはズンズンと進んでいく。
トンネルを通り抜けても、特に変わったところはない。
僕たちはがっかりした。
すぐに帰ろうと、またトンネルの中に入る。
そしたら、トンネルにまた蜘蛛の巣が張っていた。
さっきに全部払いのけたのに。
僕が怖がっていると、こうちゃんがこう言った。
蜘蛛の巣は10分くらいで巣を張るらしいぞ。
なんだ。
僕たちが払いのけてから、蜘蛛がまた巣を張ったんだ。
僕はホッとしながら、またトンネルを通った。
終わり。
■解説
トンネルは3分くらいで通り抜けられ、すぐに戻っている。
ということは10分も経っていないことになる。
それで蜘蛛の巣が張っているのはおかしい。
もしかすると語り部たちは異世界へ行くことに成功したのかもしれない。